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NGUYEN THI THANH NGAN

2018年6月11日更新

ベトナム人日本語学習者の日本イメージとその形成要因
―国民意識、日本への関心及び日本関連情報との接触頻度に着目して―

NGUYEN THI THANH NGAN
修了年度 2017 年度
修士論文題目 ベトナム人日本語学習者の日本イメージとその形成要因
―国民意識、日本への関心及び日本関連情報との接触頻度に着目して―
要旨
(1000字以内)
異文化理解の促進を目的に日本イメージに関する研究は韓国や台湾をはじめ、アジア諸国で数多く行われている。2015年にベトナムにおける日本語学習者は64,863人であり(国際交流基金, 2016)、在日ベトナム人留学生は中国に次いで2番目に多い。しかし、ベトナム人日本語学習者を対象にした日本イメージ及びその形成要因に関する研究は極めて少ない。そこで本研究では、ベトナムにおける日本語を専攻とする大学生を対象に日本イメージを明らかにし、日本イメージの形成要因として取り上げられた国民意識、日本への関心、日本関連情報との接触頻度は日本イメージにどのような影響を与えるのかについて検討することを目的とする。
日本イメージを明らかにするために因子分析を行った結果、〈勤勉性〉〈親和性〉〈先進性〉〈生活の利便性〉〈災害・社会的問題〉〈民主性〉の6因子が抽出された。さらに、学年による差異を検討した結果、〈勤勉性〉〈親和性〉〈民主性〉の3因子で他の学年より1年生のほうが有意に高く、〈生活の利便性〉の要因では1年生と3年生より4年生のほうが有意に高い値を示していることが明らかとなった。
ベトナム人の国民意識として、〈ベトナム人としての愛国心〉〈外国への開放性〉〈ベトナムの発展優先〉〈ベトナムの優越性〉の4因子が抽出された。〈外国への開放性〉では、2年生と4年生より1年生のほうが有意に高いことが確認された。
日本への関心として、〈日本の大衆文化〉〈日本の社会的動向〉〈日本の生活的事情〉〈日本の社会的事情〉〈日本との積極的接触〉の5因子が得られた。〈日本の社会的動向〉の因子で3年生より1年生のほうが高く、〈日本の生活的事情〉〈日本の社会的事情〉の2因子で3年生と4年生より1年生のほうが有意に高いことが明らかになった。
日本イメージと国民意識、日本への関心、日本関連情報との接触頻度と属性の学年との関連を検討するため、重回帰分析を行った。その結果、〈親和性〉には、日本への関心の〈日本の大衆文化〉〈日本の社会的事情〉、国民意識の〈外国への開放性〉が正の影響、〈ベトナムの発展優先〉、属性の「学年」、日本関連情報との接触頻度の「日本のアニメ番組を見る頻度」が負の影響を及ぼしていた。以上のことから、日本の大衆文化と日本の社会的事情に関心を持ち、外来文化を積極的に受容し、ベトナムの発展優先を重視せず、日本のアニメを見る頻度が少ない学年が低い大学生が日本に対し親しみを感じることが認められた。
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