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竹本 恭子

2020年10月28日更新

EPA外国人介護福祉士の視点から候補者オートノミーを捉える試み―自律学習支援への提言を目指して―

竹本 恭子
修了年度 2019度
修士論文題目 EPA外国人介護福祉士の視点から候補者オートノミーを捉える試み―自律学習支援への提言を目指して―
要旨
(1000字以内)

 日本は、人口急減と超高齢化社会という非常に大きな課題を抱えており、外国人人材の確保や受入れの拡大が急ピッチで進められている。2008年に開始された経済連携協定(Economic Partnership Agreement、以下、EPA)に基づく看護・介護福祉士候補者(以下、候補者)受入れ制度は、外国人介護人材受入れの先駆的モデルケースとなり、その存在がますます注目されるようになった。しかしながら、第2言語である日本語を使用し、感情労働といわれる介護業務と介護福祉士国家試験対策の学習を、3年間、両立させていかなければならず、十分な学習支援が受けられない候補者の存在も報告されている。そのため、自らの意思決定により、学習方法やリソースなどを選択し、学習を進めていく能力、つまり、自律性、学習者オートノミーの育成や自律学習の重要性が強調されるようになった。

 しかし、候補者の就労・現場で求められるオートノミーとは、具体的にどのようなものか、さらに、自律学習の支援ツールなどか開発されるようになったが、そこに、候補者の視点が入っているのかという疑問が新たに浮かび上がってきた。そのため、候補者の視点から、オートノミーの特徴を捉えることが求められる。

 よって、本研究では、4名のEPAインドネシア人介護福祉士候補者を対象に、就労・研修において発揮されたオートノミー能力とは具体的にどのようなものか、明らかにすることを目的とした。半構造化インタビューにより、就労・研修を振り返り、そのデータに基づいて、対象者が発揮したオートノミーの特徴を明らかにした。

 その結果、「リソース・ツールの利用、活用」、「学習習慣」、「人間関係構築」などの能力を発揮していることが、観察された。その要因として、「自分自身の能力の認識」や、「国家試験に合格したい気持ち」といった点が可能性として示唆されたが、あくまでも可能性であり、今後も検証が必要である。さらに、対象者が4名ということで、限界がある。今後も調査を要する。

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