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2024年5月28日更新
修了年度 | 2023度 |
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修士論文題目 | SNSを利用する中国人日本語学習者の学習者オートノミー ―学習者オートノミーの社会的視点から― |
要旨 (1000字以内) |
インターネットが情報化社会を加速させる現在において、国際移動が頻繁になり、日本に滞在する中国人日本語学習者にとってTwitter、Instagram、Facebook などのSNSの使用は日常に必要な部分になっている。それと同時に、日本語学習者の増加により学習者の学習目的やニーズも多様化になっている。このような変化に対応するため、学習者自身で学習内容や方法を選定し、言語学習を行うことを支える能力である学習者オートノミーが求められている。また、学習者は異なる言語環境を行き来しながら目標言語の母語話者とのコミュニケーションを通して人間関係を構築し、目標言語社会における自己認識を形成している。さらに、SNSは学習者オートノミーを支えるツールとして、学習者が必要に応じて日本語学習に取り組むことを保証できる。そこで、学習者が母語話者との関わりは人間関係を構築できると同時に自身の日本語学習に影響すると考えられる。したがって、本研究は日本に滞在する中国人日本語学習者を対象にし、SNSを通じて学習者が日本語母語話者と構築した人間関係がいかに日本語学習のリソースとして、学習者オートノミーと日本社会における自己認識に関わっていることを目的としている。本研究は中国で日本語を勉強してから、留学目的で来日した中国人日本語学習者10名を対象とし、半構造化インタビューを実施した。集めたデータを修正版グラウンデットセオリーの手法に従い分析した。その結果、学習者はSNSの使用において、母語話者との関係構築にあたり、言語的、文化的な問題に直面したが、このような問題は初期で母語話者とのコミュニケーションの妨げになっていた。また、母語話者との関係を深めるため、学習者はSNSで母語話者の言語使用を真似したり、身の回りのリソースを援用しながら日本語学習に取り組んだりすると同時に、母語話者と親密な人間関係を構築できた。さらに、日本語能力の向上と人間関係の深化により、学習者の自己認識は外国人としての疎外感から自分を受け入れる傾向への転換が現れた。このように、SNSにおける母語話者と構築した人間関係は学習者オートノミーと学習者の自己認識と影響し合う様子が見られた。 |