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2024年5月28日更新
修了年度 | 2023度 |
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修士論文題目 | 日本の大学で学ぶ中国人留学生の日本語学習動機づけについて ―日本語の接触量に注目して |
要旨 (1000字以内) |
先行研究の中では、中国にいる中国人日本語学習者(Chinese Japanese Learner、以下CJL)が日本語を学ぶ理由として、漫画、ドラマ、アニメ、歌謡など日本文化に対する興味と日系企業への就職が挙げられた。また、日本に留学するCJLの日本語を学ぶ理由は文化に興味があることと就職するためだけではなく、留学中に日本人と接触していくうちに、日本語学習に積極的に取り組んだり、または日本語の学習を維持したりするようになることがわかった。しかし、日本に留学する学習者の数が年々増えているCJLの場合、留学環境において日本語を使う機会があっても、周りに中国人が多く存在し、買い物や人との付き合いなど、日常生活において中国語だけでも生きていけるような極端なケースにおいては、日本語の使用が制限される可能性がある。また、話す以外のスキル、日本語で聴く、読む、書くにおいても、どの程度日本語を使用しているかについての調査も行う必要がある。 本研究は、日本にいる大学生・大学院生のCJL 97名を対象に、まず、彼らの日々の日本語との合計接触時間と日本語学習の動機づけとの関連を明らかにし、そして、彼らの4つのスキル(聴く、話す、読む、書く)別の接触時間と日本語学習の動機づけとの関連について検討した。本研究は質問紙を用いて調査を行った。質問紙は2部に分けられ、それぞれは日本語学習の動機づけに関する質問紙のAttitude/Motivation Test Battery (AMTB)と、日常生活における第二言語の接触時間に関する質問紙のLanguage Contact Profiles (LCP)であった。結果として、AMTBに含まれる「統合性」、「動機づけ」、「学習状況に対する態度」、「AMI」という4つの複合係数の中、「統合性」、「動機づけ」の2つの複合係数はCJLの日本語への合計接触時間と有意な相関があった。また、言語の4つのスキル(聴く、話す、読む、書く)の接触時間の中で、AMTBの総得点と「聴く」の接触時間との間には有意な相関が見られた。AMTBの4つの複合係数のうち、「動機づけ」「統合性」「AMI」という3つが「聴く」の接触時間と有意な相関を示していた。これは、CJLの動機づけの程度は彼らが日本語における様々な「聴く」の活動と接触する時間に影響を与える可能性を示している。また、先行研究では4つのスキルの接触時間と動機づけとの関連性は明らかにされていないため、この発見は本研究独自のものであると言える。これらの結果は、CJLの日本語学習動機づけと接触時間の関係性について新たな視点を提供している。 |