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2026年6月1日更新
| 修了年度 | 2025年度 |
|---|---|
| 修士論文題目 | 日本語学校から大学までの中国人留学生の異文化適応における主体性 ―人間関係に着目して― |
| 要旨 (1000字程度) |
中国人留学生の異文化適応に関する研究が盛んに行ってきた。その中には、特に人間関係が適応において重要な役割を果たしていると示したものがある。邱 (2009)は、日本語学校と大学の学習・生活環境が大きく異なり、両者を区別し扱う必要があると指摘した。しかし、従来の研究では、留学生が受動的に適応する立場に置かれており、人間関係における主体性があまり見られていない。本研究における主体性は、Bandura(2006)の概念を理論枠組みとする。先行研究を合わせて見ると、筆者は日本語学校から大学までの中国人留学生が人間関係において発揮している主体性に焦点を当てることが必要だと捉えている。そこで、本研究は、日本語学校から大学に進学した中国人留学生を対象に、その移行プロセスにおいて人間関係がどのように変化し、それが異文化適応の経験にどのように関与するのか明らかにすることを目的とした。目的を達成するために、3つの研究課題を設置した。①中国人留学生は日本語学校段階では、人間関係がいかなるものであろうか。進学後はいかなるものであろうか。②その変化のプロセスにおいて、その人間関係は、いかに異文化適応に影響しているか。③移行過程における人間関係の選択・形成・維持に関して、主体性がどのような形であらわれているか。主体性をいかに発揮しているのか。 2025年8月に、日本語学校から大学へ進学した中国人留学生6名を対象に、半構造化インタビューを行った。このプロセスに起こった人間関係に関するエピソードについて聞き、それぞれの事例に反映される主体性について整理した。調査した結果、日本語学校における人間関係が中国人同士との関係にとどまりやすく、大学では校内で他国の人との接触が増やす。それに伴う人間関係ネットワークの構成の多元化が異文化適応にも影響を及ぼす。その影響は認知や理解の側面に集中している。彼らは、人間関係に関して主体性を発揮しているので、日本人友人を持っておらずとも適応感を覚えられる。最後に、「エージェンシー」の4要素が人間関係の面で対象者の個性的なストラテジーで運行しており、環境の変遷の中でもそのストラテジーが変わらない点を本研究の「主体性」としてまとめた。 本研究は、人間関係が異文化適応に影響を及ぼすことを改めて確認した。しかし、本研究は対象者の視点に立ち、人間関係の中で彼らが発揮している主体性や、彼ら自身の主観的な適応感に焦点を当てて考察を行った。以上の点から、本研究は対象者の視点に対する関心を喚起し、今後の異文化適応研究に新たな視座を提供することが期待される。 |