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2026年6月1日更新
| 修了年度 | 2025年度 |
|---|---|
| 修士論文題目 | フィリピン現地民間語学学校における日本語コーディネーターの役割―現地教職員がいだく「やりづらさ」に着目して― |
| 要旨 (1000字程度) |
フィリピンでは、日本での就労をめざすフィリピン人の多くが民間の日本語教育機関で学習を行っている。しかしながら、こうした機関で日本語教育に携わる教職員の実態は明らかにされてこなかった。そこで、本研究は、フィリピンの民間日本語教育機関を対象に、日本語教育体制の基盤とも言える教職員の実態を把握することを目的とした。 先行研究では、現地の高等教育機関を調査対象としているものが多く、民間の日本語教育機関を扱ったものは、実践報告や体験談といったものに限られている。また、先行研究では日本人日本語教師および現地日本語教師との関係性を扱っているものが多いが、本研究では、現地教職員間の関係性に焦点をあてた。 2023年11月から2025年10月までを調査期間とした。調査対象者は、民間語学学校の教職員5名および日本人日本語教師兼日本語コーディネーター(筆者)である。フィールドワークにおいてフィールドノーツを記述し、エンゲストロームの活動システムモデルを援用して分析を行なった。 予備調査の結果、教職員は「やりづらさ」を感じており、それが教育活動や教育体制構築の妨げとなっていることがわかった。本研究は、その「やりづらさ」の正体を明らかにし、日本語コーディネーターがその軽減に貢献できるのかを探ることを研究課題とした。 教職員の一員として日本での就労に必要な支援を実践する過程で、「やりづらさ」には心理的な「やりづらさ」と業務上の「やりづらさ」があることが明らかとなった。前者については、役職や国籍、性別、年齢、宗教などの影響を受けながら、長い時間をかけて築かれた教職員の関係性がその根底にあり、軽減へ向けた取り組みを断念した。 その一方で、後者の解消へ向けた試みにおいては日本語コーディネーターの果たした役割は大きかった。日本語コーディネーターは、コーディネーターの既存の定義や活動範囲を超えて実践を行ない、日本での就労に必要な適切な外部機関の選定や、そうした機関との連携強化といった、日本語学習者にとって必要な支援活動でありながら、これまで先行研究では扱われてこなかった部分への示唆を与えた。 今後は、次のステップとして、民間日本語教育機関の教育体制整備を試みる。本研究の最終目的は、本研究の実践で得た知見を社会実装につなげることである。実践をとおして仮説検証を繰り返すような研究が、今後はさらに必要となるだろう。 |