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小宮山 百合子

2019年6月5日更新

来日留学生のホームステイ・ホームビジット受け入れファミリーの動機および交流活動の援助成果に及ぼす影響

小宮山 百合子
修了年度 2018年度
修士論文題目 来日留学生のホームステイ・ホームビジット受け入れファミリーの動機および交流活動の援助成果に及ぼす影響
要旨
(1000字以内)
2019年4月に改正出入国管理法の施行により外国人材受け入れが拡大する。すでに来日留学生の数は2018年には30万人を超えている。日本で学び、地域で生活する留学生のホスト社会の人々との交流はますます重要となっていくだろう。交流の一つとして大学と国際交流協会などのボランティアとの連携によって、ホームステイ・ホームビジットとして行われるプログラムがある。

これまで、来日留学生のホームステイ・ホームビジットの研究は留学生の視点や、ホームステイ・ホームビジットプログラムの実施者の視点で研究されることが多かった。そこで、受け入れのホストファミリーに視点を置き、地域住民と留学生の交流促進のために研究を行った。

本研究では、来日留学生のホームステイ・ホームビジットの受け入れを体験したことのある人を対象に、質問紙調査を行い、ホストファミリーを初めてするときの動機、どのような交流活動をしたのか、ホスト自身にどのような援助成果があったのかを明らかにし関連性を検討した。

その結果、ホームステイ・ホームビジット受け入れの動機は<利他心>、<多文化への関心>、<国際交流への期待>、<互恵的動機>、<ホスト社会としての義務>、<消極的動機>の6因子が抽出された。交流活動は<相手文化への理解と接近>、<家族との共行動>、<家族同様の交流>、<日本文化の体験>の4因子が抽出された。ホスト自身の援助成果として<国際交流意識の向上>、<ホストファミリー活動への肯定的評価>、<新しい人間関係の獲得>の3因子が抽出された。重回帰分析を行い、援助成果に大きく影響を与える動機は<利他心>、<多文化への関心>、<国際交流への期待>であり、交流活動では、<相手文化への理解と接近>、<家族同様の交流>であることが明らかになった。また、留学生のホームステイ・ホームビジット受け入れの国際交流協会の「制度的な支援」からも、留学生と地域住民の好意的な人間関係が形成されたことが明らかになった。

このことから初めてホームステイ・ホームビジットを受け入れる人々は留学生のために役に立ちたいという利他心と、異文化交流に関心を持ち家族とともに異文化交流をしたいという動機を持つ人達であることが明らかになった。また、ホスト側から留学生の文化への理解が積極的にされること、家族と同様に親密であり、ホストとゲストを意識しない自然体な交流が重要であることが示唆された。

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