お茶の水女子大学
日本文化研究の国際的情報伝達スキルの育成
コンソーシアム・シンポジウム一覧
コンソーシアム(平成19年度)
(1)
プログラム
開会式
7月5日(土) Session1
「人類・食・文化」
7月6日(日) Session2
「源氏物語の千年」
煎  酒
(2)午前の部 (3)午後の部 (4)研究発表 (5)パネル (6)復 元 (7)試 飲


 
江戸の「食」復元~煎酒(いりざけ)
“Iri-zake” : Restoration of a food in Edo era

「煎酒」とは、室町末期から江戸中期にかけて、全国で日常的に広く使われていた液体調味料です。日本酒に、梅干、鰹節などを入れ、煮詰めて作ります。 江戸後期以降、醤油が普及するにつれて、姿を消しました。
“Iri-zake”is a liquid seasoning used daily and widely throughout Japan from the end Muromachi era to the mid Edo era (16-18th century).“Iri-zake” is made of Sake, pickled plums and dried bonito shavings, which are boiled and condensed. After the latter part of Edo era it disappeared as the soy sauce became widespread.
※「煎 Iri」= 煮詰める。煎ずる。Boil down and condense  
※「酒 Zake」=Sake. A Japanese alcoholic beverage made from rice.

『料理物語』(寛永20年、1643)
煎酒、鰹一升に、梅干十五・廿入れ、古酒二升、水ちと、溜(たまりしょうゆ)少し入れ、一升に煎じ漉し、冷して良し。また酒二升、水一升入れ、二升に煎じ使ふ人もあり」
(第八・生垂れ(なまだれ)・だしの部)
霜降(鯛の切り身を熱湯にくぐらせ、冷水で冷やしたもの)、掻鯛(かきだい)、生鰹(なまがつお)、鯒(こち)、鰆(さわら)、鯉(こい)、鮒(ふな)、鮎(あゆ)の項に、煎酒よしなどと見える。  (第十一・指身の部)
『養生訓(ようじょうくん)(正徳2年、1712)  
儒学者・貝原益軒(1630 - 1714)著


「脾虚の人(胃腸の調子が悪い人)は生魚をあぶりて食するに宜し。煮たるよりつかえず。小魚は煮て食するに宜し。大なる生魚はあぶりて食ひ、或は煎酒を熱くして、生薑(しょうが)わさびなど加へ、浸し食すれば害なし」  (巻三)



今回、「人類・食・文化」シンポジウムの開催にあたり、

江戸の調味料「煎酒」の復元を試みました。


作成責任者: 香西 みどり (本学教授、調理学)/日時:2008年7月1日(火)/場所:本学生活科学部調理実習室


Ⅰ『料理網目調味抄』(享保15年、1730)によるレシピ
(酒+梅干…基本型)

【材料】純米酒3L / 梅干150g (出来上がり 1.5L)① 鍋に酒を入れ、煮詰める。
② そこに梅干を加え、半量になるまで煮詰める。 ③ 漉して出来上がり。



Ⅱ『料理物語』(寛永20年、1643)によるレシピ
(+削り節+たまり醤油)

【材料】純米酒3L / 梅干150g / 削り鰹60g
/ たまり醤油 12g 
(出来上がり 1.5L)
① 鰹節を削る。
② 鍋に酒、梅干、たまり醤油、 削り鰹を入れ、
半量に煮詰める。
③ 漉して出来上がり。


Ⅲ 現代風アレンジ
(+削り節+昆布)

【材料】純米酒4ℓ / 梅干200g / 削り鰹50g /
昆布5cm×5cm×20枚
(出来上がり 2L)
① 酒に昆布を入れ30分浸し、さらに30分弱火で煮たのち、
昆布を取り除く。
② 梅干と削り鰹を入れて強火にかけ、沸騰したら火を弱め、
半量に煮詰める。
③ 漉して出来上がり。


【右】 Ⅰ基本型 (酒+梅干)
【中】 Ⅱ (+削り節+たまり醤油)
【左】 Ⅲ (+削り節+昆布)
完成品
【右下】 Ⅰ基本型(酒+梅干)
【左】 Ⅱ(+削り節+たまり醤油)
【右上】 Ⅲ(+削り節+昆布)

※なお江戸時代には上記のほか、水、塩、酢、焼米、氷砂糖、かち栗、豆腐、茄子、干瓢、大豆などを入れる作り方もありました。



↑クリックするとレシピが拡大します(pdf形式)

(2008/07/17up)

(1)
プログラム
開会式
7月5日(土) Session1
「人類・食・文化」
7月6日(日) Session2
「源氏物語の千年」
煎  酒
(2)午前の部 (3)午後の部 (4)研究発表 (5)パネル (6)復 元 (7)試 飲