Tomomi Nishikawa

MY NOTES

banner_vocab


子どもとL2

子どもは第二言語習得が上手い?

標題の件について、みなさんは、どう思われますか?

 

そもそも「上手い」というのは相対的な評価です。子どもが「上手い」と言われるのは、たいてい「大人と比べて」と言う意味で言われているのだと思います。そのことについては、「インプットが豊富な環境で、長期的に見れば」事実だと思います。ですが、「上手い」というのが、「第一言語習得の子どもと同じように、自然に言語を覚える。だから、ほおっておいても良い。」という意味に解釈されるのだとしたら、そんなことはないと思います。

 

言語能力に限らず、何かが「上手い」と思われることは、うれしいことだと思います。でも、もし自分がそれに見合った能力を実は持っていないとしたら、どうでしょうか?「この子は、小さい時から日本に住んでいるから、日本語は上手い」「この子は、ベトナムの子だから、ベトナム語も上手い」という大人の思い込みが、子どもを苦しめてしまうことだってあると思います。周りの人間が「できる」と思ってくれていることを、「実はできません」と申し出ることは、大人にとっても、勇気のいることです。

 

私にそのことを気づかせてくれた子どもは、小学1年生から日本に住んでいたにも関わらず、6年生になっても、日本語の有声音・無声音と中国語の有気音・無気音の区別ができておらず、彼の書いた作文は、濁点の間違いだらけでした。そして、彼が「できない」ことに向き合えるように、担当の先生が色々な配慮をされていたのが、とても心に残っています。

 

どの子どももできないのではなく、個人差はあると思います。そして、個人差があること自体が、子どもの第二言語習得が、第一言語習得とは異なると言うことなのだと思います。

 

▲pagetop