日本語学・日本語教育学合同部会は、12月15日午後13時から18時にわたって、本学人間文化創成科学研究科棟第6階の大会議室および5階のSCS室(TV会議室)にて行われた。部会参加者数は、約60人にものぼり大盛況であった。第一部では大学院生4名の研究発表があり、第二部では海外の大学教員4名による講演とパネルディスカッションを行った。なおボン大学の奥村三菜子先生はTV会議を通じボンからの参加となった。司会は本学大学院生である王亜茹さんが担当した。
院生の4つの発表のうち3つは日本語学、もしくは日本語教育学的動機から日本語と中国語・タイ語との対照研究であった。また、金さんの発表は本コンソーシアムの全体テーマを踏まえ、韓国における日本学研究の歴史を概観し、現在の韓国における日本学研究がどこまで来て、どこへ行くべきかについてふりかえるものであった。その後4名の先生方による講演とパネルディスカッションが行われたが、フランス、ドイツなどヨーロッパでは日本学研究の中で、日本語学、日本語教育学は排除されがちであり、その融合のため様々な試みを行っているのに対し、中国、韓国などのアジアでは、これまでは日本語学・日本文学研究が日本研究の中で中心的位置を占めてきたが、近年その他の領域へと広がりを示していることが報告され、そのコントラストが印象的であった。また日本語学、日本語教育学の研究者が、日本学研究の学際的融合に向けてさまざまな試みを行っていたり、TV会議システムなどを用い国際的交流・教育の試みを行っていたりするなど、世界で様々な試みが行われている点も確認された。これらは「日本(語)学研究はだれのものか」について、直接に言及しているとは言えないものもあるが、それぞれの国のおかれた立場に応じ、様々な模索や試みが行われており、日本の日本語学、日本語教育学研究者が学ぶべき点が多々見受けられた。さらに本部会ではTV会議を用いてボン大学とつないだが、この試みは今後のサイバーコンソーシアムの定着に向けて貴重な一歩となったと言えよう。
【文責・森山 新】