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専攻概要

2022年10月25日更新


2016年4月に「大学院生活工学共同専攻( 博士前期・後期課程 )」を開設致しました

現在、理工系女性人材は極めて不足している状況にあり、高度な理工系専門知識を有する女性人材の育成が喫緊の課題となっています。理工系のなかでも、とりわけ、生活者の視点をもった女性研究者・技術者の育成・活躍は、今後の日本の産業界を支える活力の源となり得るといえます。生活工学共同専攻では、工学諸分野の基礎から応用までを幅広く理解した上で、人間生活における諸課題を柔軟に捉え研究する能力を有する女性人材の育成を目的とします。

生活者視点からの工学の推進、そして人と暮らしを中心とした物づくりの実践を通じて、学際融合型の生活工学教育・研究を展開します。科学技術にライフスタイルを合わせるのではなく、ライフスタイルに合わせた科学技術の創造が求められています。本共同専攻では、安全・安心で豊かな未来の社会・生活を創造すべく、生活に関連する諸課題を生活者の視点に立ち、工学的手法に基づき解決できる人材を育成します。

取得学位は、修士・博士とも、生活工学、工学又は学術となります。

共同専攻とは、大学における教育課程の共同実施制度に基づいて運営される専攻です。複数の大学が相互に教育研究資源を有効に活用しつつ、共同で教育プログラムを編成する仕組みを創設するものです。生活工学共同専攻では、奈良女子大学との間でこれを行います。

【学籍について】

共同専攻に在籍する学生は両校の教育研究資源を等しく活用した教育を受けることになりますが、在籍する大学については、いずれか一校を選んで頂くこととなります。(入学後に学籍を置く大学は、指導を希望する教員が所属する大学となります。)

生活工学に関心のある中高生の方へ

◎理学と工学

中学・高校では理科は数学・物理・化学・生物・情報が主であり、工学を学ぶことはありません。では、工学とは何でしょうか?数学・物理・化学・生物などの科目は理学であり、理学はもともとは、「不思議の解明」にあります。つまり、身の回りの不思議な出来事に対し、なぜ?と考えて、その仕組みを考えることが理学の目指すところです。
これに対して、工学とは、周囲の環境の改善にあります。つまり、「問題」「不便」「不具合」などを改良して、より安全で安心な生活を築くための考え方が工学といえます。両者は同じ理系知識体系を共有していますが、このように、その方向はだいぶ違っているということができます。理学は分析(analisys)であり、工学は設計・総合(synthesis)といえます。

◎typeAの工学とtypeBの工学

工学が成立した時期は産業革命の頃です。その頃の工学は、産業を興し、国を豊かにすることが使命であり、そのために近代的な都市がいくつも生まれてきました。この頃の工学は、都市のインフラ(社会基盤)を整備するために主に役立てられてきた技術といえます。この当時に生まれた工学各分野の技術をtypeAとするならば、近年では、typeBとしての新しい工学分野が成立しつつあります。生活工学は後者のtypeBです。すなわち、成立した都市環境において、科学技術の知識を総動員することで、より安全で安心な生活を築こうとする考え方が生活工学です。

◎生活工学~人間中心の工学:Human Centered Engineering

typeAの工学はこれまで、造るもの(技術)毎に枝分かれして進化・細分化してきました。そして、人々はその技術成果に生活を合わせてきました。これに対し、新しいtypeBの生活工学では逆に考えます。すなわち、中心に置くのは技術ではなく、あくまで生活する人々であり、その生活や社会に技術を上手に適合させようとする発想です。Society 5.0や持続可能な開発目標(SDGs)を支える技術を目指します。

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(左がtypeAの工学技術、右がtypeBの工学技術)

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