代表者メッセージ

室伏きみ子

お茶の水女子大学では、2013年度に文部科学省「博士課程教育リーディングプログラム」事業に採択され、理工系グローバルリーダーの育成を開始しました。社会からの期待に応えて、世界的な課題の解決に向けて活躍する女性を育てるための教育と研究を推進しています。
 このプログラムは、「『みがかずば』 の精神に基いて、イノベーションを創出し続ける理工系グローバルリーダーの育成」を目標として構築されていますが、この名称は、本学の校歌「みがかずば 玉もかがみも なにかせむ 学びの道も かくこそありけれ」に由来します。
 宝石も鏡も、磨かなければただの原石や金属の塊に過ぎません。私たちも、自分自身を成長させ、世の中に貢献できる公共人となるために、常に自己を磨き研鑽を重ねることが大切です。その研鑽を通じて、様々な分野でイノベーションを創出し、世界に変革をもたらすことが可能になります。

本学は、女性のための日本初の高等教育機関として1875年に設立され、今年、創立140周年を迎えます。その歴史の中で培ってきた優れた教育と研究の成果が、本プログラム推進の基盤となっています。
 今、私たちを取り巻く社会環境は、きわめて厳しいものとなっており、国内だけでも、東日本大震災からの復興、少子高齢化とそれに伴う社会的課題、国民一人当たり1,000万円にも及ぶ負債を抱えた経済状況と、課題が山積しています。世界的にも、日本が国際社会で果たすべき役割や国際的な立ち位置、環境・エネルギー問題など、課題の枚挙に暇がありません。その中で、学問・研究に励む若い皆さんが、広い教養と深い専門性を身につけて、世界を牽引する「グローバル人材」として育つことが期待されています。
 「グローバル人材」とは、単に英語などの外国語を駆使して仕事ができるといったことではなく、自分とは異なる価値観や考え方を持った人々と深く理解しあい、異なる生き方をしている人たちと互いに切磋琢磨しながら、自らを成長させていくことのできる人材であり、「グローバルリーダー」とは、そうして獲得した統合的・実践的な「智」を以って、世界的課題の解決に向けて、多様な世界の人々との協働を実現することのできる人材です。

皆さんが本プログラムの下で、自律的な学びと研鑽を経験し、社会的・国際的な体験活動に参加して、世界に羽ばたく「グローバル女性リーダー」として成長して下さることを願っています。

2015年4月
お茶の水女子大学長 室伏 きみ子