想定される近未来の課題

のプロジェクトは、以下のような近未来の課題に対応しようと考えます。

  1. 将来の労働力不足から、女性の継続雇用が望まれているにもかかわらず、現実には、変化は少なく、非婚や出産遅延の形での継続が増え、少子化がすすみ、将来の人的活力の低下が懸念されること。
  2. 男女ともに非正規雇用が拡大し、低所得と将来不安、働く上での技能形成とモラルが低下していること。
  3. 子どもが幼い間、女性が仕事を持てないことでストレスが生じ、育児や親子関係に緊張感をもたらしていること。
  4. 職場と家庭における性別役割分業に関する意識を改革し、ワーク・ライフ・バランスを計れるような雇用システム、採用、人材育成、昇進のあり方とこれを支える法体系が構築されていないこと。

これらの喫緊の課題に対して、本研究は、ジェンダー・格差視点から仕事と生活の調和の課題を調査し、制度・意識改革を盛り込んだ有効な支援を提唱していくことを目的とし、そのための実証的研究を行いたいと考えています。

研究の目的・意義

来の人的活力の低下、子育ての喜びの肯定感の低下や少子化への対応策については、政策がなんら実施されてこなかったというわけではありません。しかし実効性は出ていません。たとえば女性の離職状況や平均的な男女賃金差にはほとんど変化が出ていないのです。現在でも自立できる程度の収入を持つだけキャリア(職の技能)を蓄積してきた、と言える女性は依然少数であり、「就職」よりは「就社」であって離転職時に技能の蓄積が難しい状況は続いています。そして理想の生き方とは思わないが生涯シングルで働くことになるだろうと予想する男女が増加しています。

また労働時間は比較的長いのに家事をほとんど担う低賃金の有配偶パート女性が増加し、長時間労働の有配偶男性も増加し、さらに低賃金のシングル男女も増加しています。  これまでの男女賃金差の解消や仕事と家庭の両立政策の効果が薄かったのは、それらの提言には、生活の視点が弱く、女性の仕事の場での経験や男性の家事の場での経験を十分に評価した研究がなされてこなかったからではないかと考えています。

本研究では、若年男女層や管理職層に聞き取り調査を行い、また企業の人事制度、昇進や採用にまつわる制度との齟齬を明るみに出し、さらに量的分析調査でこれを確認することを目的とします。

また、本研究の特徴は、仕事中心の男性のライフスタイル及び家庭中心の女性のライフスタイルに伴う格差を是正するために必要なこと、及び多様なライフステージに対応した職場環境作りと家庭生活環境作り分析モデルを考えて、望ましいワーク・ライフ・バランスの多様性を考察し、選択肢が拡大する社会へ向けた変革をめざしていくことにあります。

本研究の意義はジェンダー・格差センシティブなワーク・ライフ・バランスの形成です。

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