お茶の水女子大学
日本言語文化学研究会
 

  【第4回 講演会】(終了)

     
 

ピア・レスポンス
―実践・研究の現状と今後の課題−

講演者:池田 玲子(東京海洋大学) 原田 三千代(専修大学非常勤講師)
 

日時:2008年5月16日(金)17:00〜19:00 
場所:お茶の水女子大学 アクセス
人間文化創成科学研究科・全学共用研究棟 6階大会議室
キャンパスマップ(16番の建物です) 
参加費:会員無料、非会員500円 (当日入会可)

日本語作文教育にピア・レスポンスが提案されてから、すでに10年が過ぎようとしている。現在、ピア・レスポンスは、さまざまな日本語教育現場において、現場特有の諸条件を考慮した形でデザインされるようになってきている。また、日本にかぎらず、中国や韓国、インドネシアなどアジア地域の日本語教育現場でも実践・研究の例がみられるようになった。さらには、日本語教育という分野をこえて、大学の表現法授業に応用されたり、外国語教育や高校の国語教育、企業内教育でも注目されるようになってきた。しかし、ピア・レスポンスの実践や研究を進めていく上で、その限界、残された課題がいくつかある。たとえば、評価の問題もその一つであろう。
 本講演では、日本語教育のピア・レスポンスについて、これまでの実践・研究の経緯と現状を報告する。さらに、日本語教育をこえて応用された例についても紹介する。そして、ピア・レスポンス研究の限界、現状における問題点(主に教師の意識、学習評価・教育効果の問題)や今後の課題について、参加者と一緒に議論したい。
 


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     【報告】

     
 

 中国における日本語教科書編集 ―歩み・現状・課題報告―

北京語言大学 楊 峻

 ワクワクさせる曹先生のご講演を聴いて、とても元気付けられました!
 先生はご自身が経験したことを話しながら、教科書編集の歴史変遷を紹介してくださいました。
70年代から80年代までは、中国で日本語のリソースが非常に貧弱していて、教師個人による素材補強の傾向が強かったが、90年代以降は、教科書ガイドラインで、知識学習から応用能力の養成への転換が強調されているが、実際に教科書を開いてみると、文法が正しいが、実生活に使われていない日本語がたくさん載っているという。2000年以来の教科書編集では、道具としての日本語の素材が追求されていると同時に、社会の変革に応じて、どのように人材を育成するかも課題の一つとなったと話されて、中国の日本語教育のための新しい教材像に関する研究を紹介してくださいました。新教材の中で、真正性と実用性が重視した日本語を素材として取り入れること、四技能を統合させること、媒体を多様化させること、教師へのサポートを作ることなどなど…心を躍らせる話がいっぱいありました。そして、このような充実した教材を通して、学生にコミュニケーション能力と社会文化能力を身につけてほしいとおっしゃいました。
 私は中国で
3年くらい日本語を教えていました。いつも教材のことで頭を抱えていました。私が使った日本語教科書の中には、必要以上文法に対する説明が詳しかった。動詞の活用を習う課で、「終止形」、「未然形」など学校文法の言葉が出てきて、学生も困惑するし、教師の私も説明に苦労していた。私の仕事は言語学者を育つのではなく、日本語を話せる人を育つのだと思いながら、どんな題材でどのように教えればいいかは戸惑うまま、文法学習を中心とする教科書を使っていました。
 曹先生の示された新教材の具体例を見ると、ワクワクしました。「このような教科書があれば、やっていける!やってみたい」と思いました。文法学習を中心とする授業に教師も学生も限界を感じていながら、どのように改善をすればいいかは分からない中国の日本語教育の現場で、新教材の作成は具体案の提供において、非常に意義のあることだと思います。
 ぜひぜひ応援したいと思っています!
 

 
     

  

   【会場の様子】

 

 

 

 

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