「中国の大学における新世紀日本語教育―運用力養成に向けて」清華大学 冯峰先生
2005年5月20日 お茶に水女子大学にで
冯峰先生のご講演を聴いて中国の日本語教育の現状と問題点について理解を深めることができました。以下、3点から冯峰先生のご講演の内容を簡単にまとめたうえで、私の感想を述べさせていただきます。
一、講演内容についてのまとめ
第一に、中国では日本語学習者が多様化していることが分かりました。日本語を専攻する大学院レベルの学習者の間では、現役の学生もいれば、就職経験を持つ社会人もいます。また海外での留学経験を持つ学生もいると聞いておりました。そのほか、日本語を専攻する4年制大学の本科生や、第二外国語として日本語を学ぶ大学生も多くいます。さらに、中学校、専門学校、短期大学、社会人向けの日本語養成クラスなど様々な教育機関が存在し、学習者数が増えている状況が分かりました。
第二に、教師陣について、現在、日本語ができる人材が各日本語教育機関で活躍しているが、日本語教育を専門とする教員がまだ少ない状況が分かりました。全体的に、教師の日本語教育水準の向上が期待されていることが分かりました。
第三に、冯峰先生がご紹介なさったように、清華大学はその一例ですが、日本語教師が自分の授業を見直し、絶えず授業の改善に努力している様子が分かりました。
二、私の感想
冯峰先生のご講演を聴いて、新世紀の日本語教育、日本語教師像についていろいろ考えさせられました。
第一に、日本語教育は、言葉の教育である以上、人間がどのように第二言語として言葉を習得していくか、つまり、学習者の認知構造、「学び」そのもののメカニズムを最大限尊重して、学習者の能動性がもっとも発揮できる状況の学びと教授法を探るべきだと思います。
第二に、学習者が何のために日本語を学び、日本語学習に対して、どんなニーズがあるか十分に把握する必要があると思います。日本語教師として、そのニーズに応えられるよう授業の内容や授業方法などを工夫すべきだと思います。
第三に、国際社会や中国社会が著しい変化をしています。このような社会の変化が日本語人材の養成にどんなニーズがあるか常に目を向ける必要があると思います。社会に通用できる主体性を持つ人材の育成に日本語教育の分野で一役を果たさなければなりません。
第四に、日本語教師として、日本語を教えること以外に、日中関係をどう捉えるかなど、日中友好を促すために、日本語教師がどんな役割を果たすべきか考える必要があると思います。
時代の変化とともに、教師は、常に自分の教授行動を見直し、多方面にわたる日本語教師の役割を自覚し、教師力の向上を目指すべきだと思います。冯峰先生のご講演どうもありがとうございました。
お茶の水女子大学国際日本学専攻 朱 桂栄(しゅ けいえい)