第2分科会(302教室)では次の三つの研究発表が行われました。
一つ目の発表は、京都教育大学の浜田麻里氏による「中国大学日本語教員と学生の言語学習・教育観」で、教授法・学習動機・教室外学習などに関わる質問紙調査の結果が報告されました。それによると、教科書を利用した学習に関しては学生と教師の認識はほぼ一致しているものの、教科書外の活動については、教師は「討論」を重要視しているのに対し、学習者は「ロールプレイ」を求めているなど、両者の間に認識の差があることが明らかになりました。
二つ目の発表は、テスト法に関する実証研究で、お茶の水女子大学の小林久美子氏が「読解テスト解答方式が受験者のテスト得点に与える影響−中国語母語話者の場合」を報告されました。読解テストには多肢選択式テストと自由回答式テストがあり、これらのテストを構成する問いにはグローバルな問いとローカルな問いがあることから、読解テストの得点が、テスト方式・問いの種類・学習者の読解能力によってどのように異なるかが検証されました。その結果、読解能力にかかわらず多肢選択式は自由回答よりも有意に得点が高いこと、ローカルな問いでは回答方式によって差は見られないものの、グローバルな問いでは多肢選択式の得点が有意に高いことが明らかになりました。
三つ目の発表は、東京外国語大学院生菊池富美子氏による文献レビュー「学習リソースとは何か―日本語教育における学習リソース研究の概観」です。菊地氏は日本語教育において学習リソースがどのように定義されてきたかを整理し、また、学習者は学習リソースをどのように捉えているかに関するアンケートやインタビューによる研究を概観した上で、学習リソースの定義を再考し「第二言語習得におけるリソースとは、環境にあって学習または教育に利用されうる、目標言語の情報源である。」という定義を提案しました。
各発表者にはコメンテーターからの専門的な解説や質問等がなされ、また、会場からも多くの質問が寄せられ、活発な討議が行われました。
お茶の水女子大学国際日本学専攻 高橋薫