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水村研究室(舞踊教育学コース)

2016年4月12日更新

研究分野紹介

「身体運動科学」身体や運動を自然科学的な手法を用いて研究しています。運動時の生理的応答を調べる「運動生理学」、運動が発現するメカニズムを力学的な手法を用いて調べる「バイオメカ二クス」の2つの学問領域での研究調査が主となります。この数年は以下のようなテーマで研究を進めています。

長期的な運動実践(各種トレーニング、スポーツ、ダンスなど)が身体諸機能に及ぼす影響

運動実践による健康保持・増進に関する研究

生体応答にみられる個人差に関する研究 芸術性を求められる動作(およびそれを行っている人たち)に関する自然科学的研究

運動によるプラスの適応とマイナスの適応に関する研究などです。

テーマに応じて、さまざまな手法を使って研究を行なっています。また国内外の研究者との共同研究も行なっています。

講義・演習科目紹介

動作学

2年次必修の授業です。前半は、動作を生理学的応答あるいは力学的メカニズムから考える基礎的な知識と考え方、また調査を行なううえでの利点と問題点などを学びます。後半は、実際に自分の身体を対象に、さまざまな動作を行い、数値を記録し考察する非常に簡単な実習を行なっています。出席点はもちろんですが、レポート課題も重要な採点対象としています。例年、ある動作について20個体以上を定性的に調査することから、その動作のメカニズムを考察するという課題で行なっています。 この講義は、動作を自然科学的な視点で考えるうえでの概論ですので、卒論で私の指導を希望する学生は、これ以外に「生理学」「解剖学」「運動学」といった講義を履修し、最低限それらの内容を理解することが必要です。また専門的な研究をしたい学生は、後述の専門書を読むことをお勧めします。

動作学実験演習

演習では、英文学術論文の抄読と実験を各週で行っています。英語の学術論文は、受講者の興味を初回の授業の際に発表してもらい、それに沿って担当教官が選んだものを1本、自分でmedlineなどを利用してキーワードから文献検索をして探した論文を1本、計2回は論文の内容の発表をし、皆で内容に関する討議を行ないます。また実験は、本学に既存の実験機器の取り扱いをひと通り経験し、求められた測定値を統計処理し、先行研究を調べたうえで考察し、毎回レポートを作成・提出します。実験手法は、酸素摂取量、筋電図、超音波画像、心拍変動、血圧、動作解析、地面反力などが主なものです。演習の最後の課題として、自分が興味のある研究対象に関して研究計画を書き、提出します。時間的な制約により現在まではそれらを発表する機会はありませんでしたが、今年度より発表とそれに関する討論の機会を設ける予定です。

卒論作成に向けて

3年次

  • 11月頃 指導教官決定後、週に1回ゼミを行い、論文の抄読
  • 12月 卒論に向けての研究対象・テーマの決定
  • 12月から3月 先行文献の収集および研究手法の習得

4年次

  • 4月から6月 文献・予備調査の検討、本調査の計画作成
  • 7月から9月 本調査の実施および解析、序章の執筆
  • 10月から12月上旬 本調査の分析、本文の執筆

学習の仕方

① 研究対象の選定

② 研究対象に関連した先行研究の抄読(多くが英文)し、何が明らかになっていて何が明らかになっていないかを知る

③ ②と並行して用いる予定の研究手法(例えば動作解析など)を学ぶ。その際に、研究目的に合った手法かどうかを検討する

疑問に思うこと、興味のあることに関して、なるべく多くの著書や論文を読み、自分の疑問に答える事実はすでにあるのか、自分の興味はどこにあるかを明らかにしてください。また実験は、データが正確にでるまでに予想以上に時間がかかり、おそらく思ったよりも地道な作業が続きます。自分の興味ある事実を導き出すための地道な作業は、それほど苦にはならないでしょうから、まずは自分が調べて面白いと思うことのできる研究対象をみつけることが、卒論への取り組みをスタートする第一歩だと思います。

それから、実験や調査は1人で行うものではありません。協力してくれる研究対象(被検者)、協力してくれる仲間がいてこその研究調査です。多くの調査はチームを組んで行なわれています。積極的に先輩や同級生の調査に参加するなかから、自分の研究への足がかりを見つけてください。

主な卒業論文テーマ

過去5年間(20名)の論文はおおよそ下記の6つのテーマに分類できます。括弧内はテーマに関連したキーワードです。

  1. トレーニングによる身体諸機能での適応現象(呼吸循環系、神経系、筋骨格系機能)
  2. 筋出力に影響する要因に関する研究(筋活動様相、筋持久力、筋形態、柔軟性、左右差)
  3. 芸術性を要求される運動の自然科学的研究(ダンス傷害、美しい動作、コンディショニング)
  4. 加齢に伴う身体諸機能の変化(中高年齢者、子ども、発育発達)
  5. 健康保持・増進のための運動に関連した研究(肥満、脂質代謝、ボディイメージ、知識、意識)
  6. 運動と認知および生理心理に関連した研究(主観的運動強度、空間認知、リズム認知、緊張)

参考書リスト

学術雑誌

体育学研究、体力科学、運動生理学雑誌、バイオメカ二クス研究、トレーニング科学

Journal of Applied Physiology, European Journal of Applied Physiology and Occupational Physiology, International Journal of Sports Medicine, Journal of Biomechanics, Journal of Applied Biomechanics, Acta Phyiolosica Scandinavia, Journal of Sports Science, Research Quarterly for Exercise and Sports, Journal of Dance Medicine and Science, Humam movement studies, Perceptual and Motor skills, Experimantal brain research, Journal of Neurophysiology etc

基本的な教科書

石井、宮下「運動生理学概論」杏林書院

池上「運動生理学」朝倉書店

深代、桜井、平野「スポーツバイオメカニクス」朝倉書店

金子「スポーツバイオメカニクス入門」杏林書院

水村「運動とからだ」山海堂

中村、斉藤「基礎運動学」医歯薬出版

市原「バイオサイエンスの統計学」南光堂

専門的な教科書

真島「生理学」文光堂

オストランドPO「オストランド運動生理学」大修館書店

シュミットRA「運動学習とパフォーマンス」大修館書店

ファインマンRP他「ファインマン物理学」岩波書店

その他

トーマスJ、ネルソンJ「最新体育・スポーツ科学研究法」大修館書店

シルバスタインS「ぼくをさがしに」講談社

ジョンソンS「チーズはどこに消えた」扶桑社

その他

4年生は卒論を進める一方で、それぞれの進路に向かって行動しています。時すでに遅しとならないよう、どの道に進むにせよ、十分な準備と情報収集が必要だと思います。指導教官として何かできることがあれば喜んでしますが、基本的にはその人の資質とバイタリティで皆それぞれの道を開拓しています。そして何を行うのにも基本は健康。よく働き、よく食べ、よく眠り、よく学び、そして仲間と刺激しあえる人をゼミ生に求めます。

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