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岡研究室(舞踊教育学コース)

2018年4月12日更新

研究分野紹介

研究の中心にあるものは「舞踊と人間形成」です。舞台等で行われる上演舞踊、教育の場での舞踊、地域活動のなかの舞踊など、臨床舞踊の場は多岐にわたります。それぞれの活動は、人間にとって何を意味しているのでしょうか。舞踊、身体表現を行うことによって引き出される力、心身の変化について、身体論(身心論)、教育学、心理学の分野からとらえることが主軸となっています。具体的には、以下のようなテーマで研究を行っています。

  • 踊り手の身体意識と熟達過程
  • 子どもと身体表現、学校体育における舞踊
  • 生涯教育としての舞踊

いずれも文献研究に加え、実践の場の観察や、実践者のインタビュー調査を通した質的研究となります。

講義・演習・実技科目紹介

「臨床舞踊論」「臨床舞踊論実験演習」

舞踊は様々な現場(舞台での上演や、学校体育、地域活動、ダンススタジオなど)で行われています。それぞれの臨床の場において、舞踊はどのような役割を果たしているのか、いくつかの理論を参照しながら考察していきます。3年次の実験演習では、舞踊活動の観察、活動従事者による語り(インタビュー)、ならびに創造的芸術体験としての舞踊の活動に関する国内外の文献の講読を通して、それぞれの臨床場面における舞踊活動の意義を具体的に捉え、考察します。その過程で、臨床の現場での舞踊活動を巡る諸課題について各自がテーマを設定し、文献研究及び実地調査を行います。まとめとして、人間にとっての舞踊の意義について、調査結果をもとに互いに討論することを目指します。

「舞踊創作法実習(即興創作)」

構成・演出・振付といった舞踊作品における総合的な創作力を問う前段階として、即興表現を体験します。多様な手掛かりをもとに即興創作を行い、即興表現と舞踊作品の上演のつながりを実践的に考察することを目指します。

「舞踊教育法実習(中等教育)」

中学校・高等学校におけるダンス授業の指導者として必要な知識・資質を実践的に身につけることを目指します。学習指導要領におけるダンスの位置づけとその意義を踏まえ、作品創作へ導くための要素(運動課題・オノマトペ・音楽・場づくり)について理解を深めます。また、指導案作成と模擬授業の体験を通して、指導の仕方について分析・考察し、ダンスの授業を行う力を身に着けることを目指します。

「舞踊表現学特論」(博士前期課程)

身体表現、舞踊に関する国内外の文献を取り上げ、表現と身体、舞踊表現の多様性、舞踊表現が人間にとってどのような意味を持つかという問題について論じます。舞台上演、教育などの場において舞踊活動が生み出すコミュニケーションの諸相について討論し、個々の舞踊経験や自分の研究内容との関連をレポートとしてまとめます。

卒論作成に向けて

3年次

  • 文献、論文の講読
  • 研究テーマ、調査対象、調査方法の検討
  • 資料の収集

4年次

  • 4月から6月 主テーマの確定、章立て案作成、調査計画
  • 7月から9月 調査実施、理論の整理、調査結果の考察
  • 10月から12月 本文執筆、推敲

学習の仕方

舞踊に関する「問い」や、もっと知りたいと感じることについて、積極的に言葉や文章にしてみてください。そうした問いを核に据え、興味深いと思えるキーワード、理論を探していくことが手掛かりになると思います。調査を行いたい場合は早期に計画を立て、研究方法や解釈の仕方を吟味することが必要となります。先行研究もしっかり検討してほしいので、資料収集や整理を3年次より行ってください。

参考書リスト

  • M.N.ドウブラー(1974)『舞踊学原論』大修館書店
  • ロデリーグ・ランゲ(1981)『舞踊の世界を探る』音楽之友社
  • 柴眞理子(1993)『身体表現 ~からだ・感じて・生きる~』東京書籍
  • 柴眞理子編著(2018)『臨床舞踊学への誘い ―身体表現の力―』ミネルヴァ書房
  • 湯浅泰雄(1990)『身体論-東洋的心身論の試み』、講談社学術文庫
  • 中村雄二郎(1992)『臨床の知とは何か』岩波新書
  • 清水 博(2003)『場の思想』東京大学出版会
  • 清水 博(編著);久米是志;三輪敬之;三宅美博(2000)『場と共創』NTT出版
  • 市川 浩 (1997)『<身>の構造−身体論を超えて』青土社
  • 三浦雅士(1999)『考える身体』NTT出版
  • 生田久美子(1987)『「わざ」から知る』東京大学出版会
  • R.G.コリングウッド(1973)『芸術の原理』勁草書房
  • Parviainen, Jaana(1998)Bodies moving and moved, Tampere University Press.
  • D.N.スターン(1991)『乳児の対人世界−理論編』岩崎学術出版社

質的研究法関連

  • 佐藤郁哉(2008)『質的データ分析法 原理・方法・実践』新曜社
  • J.W.クレスウェル, V.L.プラノクラーク(2010)『人間科学のための混合研究法 質的・量的アプローチをつなぐ研究デザイン』北大路書房
  • 柴山真琴(2006)『子どもエスノグラフィー入門 技法の基礎から活用まで』新曜社

学術雑誌

  • 舞踊学(舞踊学会)
  • 体育学研究(体育学会)
  • 人体科学(人体科学会)
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