お茶の水女子大学
日本文化研究の国際的情報伝達スキルの育成
講演会報告一覧
比較日本学研究センター・大学院教育改革支援プログラム主催

平成19年度 第1回公開講演会
講演者 ドラージュ・土屋浩美先生 (米国・ヴァッサー大学中国語日本語学科助教授)
テーマ グローバル時代における海外での日本文学の教え方
―総合的日本語教育の実践に向けた一案―
日 時 2008年1月23日(水)午前9:30〜11:00
場 所 人間文化創成科学研究科棟5階508号室(SCS室) ※TV会議システム
司 会 森山新(本学比較日本学研究センター長)


 さる1月23日、TV会議システムを導入しての初めての公開講演会が開催された。これは日本学研究の国際的なネットワークを日常的に活用していくための試みの一つとして今回初めて行われたものである。比較日本学研究センターの研究プロジェクト「グローバル時代の総合的日本語教育」(プロジェクト代表者:森山新)の一環として、プロジェクト海外研究員のドラージュ・土屋浩美先生にご講演をお願いした。

 日本語教育における異文化理解の重要性はしばしば議題にあがるが、文化の形が流動的な今、従来の日本の文化教育の見直し、そして新世代学習者に向けた指導においての新しさの導入といった点も考慮する必要がある。本論は、日本文学に注目し、文学作品をどのように文化教育に活用できるかを考察し、総合的日本語教育の一環としての文学教育の意味について語っていただいた。

 当日は朝早くかつ雪の降る天候にも関わらず多くの方のご参加があり、会場は満員となった。教員としては本学から日本語教育の佐々木泰子先生、日本文学の菅聡子先生、また大連理工大学からも2名の先生が参加されたほか、日本語教育、日本語学、日本文学など様々な専攻の大学院生が集まった。




 講演後、日本文学、日本語教育など、様々な角度からの質問が寄せられたり、逆にアメリカ側から日本側への質問が向けられたりするなど、国と国とをリアルタイムに結ぶ遠隔の長所を最大限発揮した講演会となった。音声も地球の反対側との間を結ぶ遠隔であることを忘れさせるほどクリアな音質であった。

 また今回のTV会議システムを用いた遠隔での公開講演会の成功は、日頃教育を受けることのできない海外の先生方による教育の場を提供してくれるだけでなく、研究者同士の交流の場となることから、今後の日本文化研究の拡大に大きく寄与するものとして注目される。


【文責 森山新】
(2008/01/28up)