興味がある論文集

 

横田淳子 1985「ほめられた時の返答における母国語からの社会言語学的転移」『日本語教育58号』pp.203−217

日本語を学習しているアメリカ人のほめられた時の返答の中に、社会言語学転移の一つである。「プラグティク・tランスファ」言語がどのように使われるかに関する知識の転移がどれほど見られるかをみせている。アメリカ人の日本語には家族、本人両方の場合とも回避または否定の返答が多いため、支持されたとはいいがたいと書いてある。                                                           

坂野 永理 1994「英語母語話者の日日本語作文における文章構造」『関西外国語大学留学生別科日本語教育論集第4号』     pp.141−151

英語母語話者が日本語で作文とき、英語の文章構造を用いるかどうか及び中心文はどこに位置するのかに考察した結果、母語のトランスファが見られて、英語母語話者の場合文章の中心文がはじめにくるケースと日本人のほうは最後にくるケースが多かった。今まで、英語の作文の文章構造の研究や日本語の文章構造研究、両言語の文章構造の差について書いてあって、先行研究を探すとき役にたつ。

西原 鈴子 1990 「日英対照修辞法」『日本語教育』72pp.25−41

結束性や対照修辞法の基礎的なことから、この論文は説明していて、対照言語学を知らない人でも、分かりやすい。また、両言語間の作文の対照に興味がある人には役に立つだろう。この論文は談話の結束性の概念を捉え、文脈の二つの意味との相関において説明した。資料は日・英語で同内容を表現しているもの三種類を使用、@指示詞A接続詞B文の表出順序に分けている。

安 龍洙 2000「日本語学習者の指示詞の使用意識にみられる特徴−韓国人学習者と中国人学習者を比較して」『第二言語としての日本語の習得研究4号』pp.5−21

この論文は韓国語と中国語を母語としている日本語学習者を対象にし、母語と日本語の相違点が指示詞コソアの学習を難しくすることを明らかにしている。また、実際の指示詞コソアの使用意識においては、韓・中日本語学習者ともに、知っている知識から推測したり、先に覚えた基本的な用法したりする傾向がかなり強いことを説明した。さらに、自信のない指示詞コソアに関しては韓・中日本語学習者ともに、使用を止めたり、他の表現に変えてしまうと論じている。

石橋 玲子 2000「日本語学習者の作文におけるモニター能力」『日本語教育学会』pp.56−65

日本語学習者の作文におけるモニター能力日本語学習者の作文におけるモニータの働きを産出した作文の自己訂正から分析している。研究結果、@モニタリングによるおかしいと気づいたとこは、かなりの程度正確に自己訂正が可能である。Aモニタリングによる自己訂正の水準は、大半が表層レベルであり、テキストレベルに及ぶ訂正は殆どなかった。B能力が高くなるほど、適切な修正が多く行ったことが明らかになった。また、この自己訂正の機会を与えることに、学習者の自律的学習に有効であると論じている。

John Hinds 1997 「Reader Versus Writer Responsibility A New Typology」『Writing Across Languages Analysis of L2 Tex』

この論文は「天声人語」を分析し、そこには日本語の「起承転結」型が見られるという結論を導いた。Hindsはこれにより日本語と英語の構造との違いを指摘し、日本語の帰納性を主張した。さらに、日本語を「読者異存型」英語を「筆者責任型」としている。即ち、日本語は明確に書くことを避け、読者に判断を任せることが多いのに対して、英語は書くものが自分で判断をし、それを明確に読者に提示しなかれ場ならないと論じている

佐藤 政光 2000 「日本語学習者の作文表現スタイルを形づくっていくもの−作文の指導方法を考えるために」『表現研究』第7号 pp11−26

何が学習者の表現スタイルを形づくって行くのか、その全体像を概観し、個々の要因を整理している。その要因は@日本語教育機関・コースの問題A日本語の問題B学習者の個人の問題に分けている。さらに、こういう学習者の表現スタイルは文章のスタイル獲得を意識させるという指導への配慮が必要だと論じている。

長友和彦 2000 「第二言語習得研究と日本語教育」 『お茶の水女子大学』 pp.41−50

@第二言語習得のサイクルを説明している。―目標言語のインプット(imput)がインテイク(intake)されて、母語の影響も受けながら中間言語と呼ばれる学習者言語が形成され、その中間言語がアウトプット(output)されると、そのアウトプットがまた新たにインプットの一部になっていくというサイクルを示している。AFocus on Form(学習活動の中で、学習者の注意を言語の形式とその意味や機能との関係に向けさせていくということ)の有効性について書かれている。

長友和彦 1988 「第二言語としての日本語の習得研究」『児童心理学の進学1988年版』第4章 東京・金子書房 pp.79−110                                

第二言語としての日本語の習得研究について、歴史的に概観し、習得研究の領域、方法、内容、さらに展望を含めてその全体像について1990年以降の習得研究の動向を中心にして、詳しく説明している。(文字・表記、音声・音韻、文法、談話、語用論、文化などの言語の諸領域と発話、聴解、作文、読解など4技能すべてにわたっている。)もし、習得研究の分野や研究方法についてまだ素人、さらに、習得の各分野の先行研究を調べようと思っている研究者たちにはすごく役に立つだろうと思われる。なぜなら、1990年以降の日本語教育の習得の流れが各分野別に分かりやすくまとまっているからである。

長友和彦 1999 第二言語習得研究の成果を活用したシラバス・デザインのあり方 『1999年日語教育国際研討会論文集』70−83

二言語としての日本語(JSL)の習得研究の成果を具体的に検討する中で、シラバス・デザインのあり方にどのような示唆が得られるかについて第二言語習得研究の成果から導き出されるものとして説明している。

 確かに、この論文では第二言語習得研究から得られたことに基づいてシラバス・デザインのあり方にいろいろな示唆は可能性を見せている。しかしながら、日本語習得に関する研究はまだ、数少ないし、シラバスは日本語学習者の母語との対照分析も加えるべきだと思われる。

                                                              

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