氏名 |
スタシクン スティサ |
修了年度 |
2014年度(2015年1月提出) |
修士論文題目 |
タイ−日日本語接触場面の会話に見られる話題転換―話題開始表現に着目して― |
要旨(600字以内) |
本研究は接触場面において、タイ人日本語学習者(以下、TS)と日本語母語話者(以下、JS)はどのように話題開始表現を使用するか、また、話題のタイプに影響されるかについて分析を試みた。 話題開始表現の全体的な使用頻度について、TSとJSの間に差はあるが、TSも開始表現を使用しようとする姿勢が見られた。また、本研究では呼びかけ表現の使用が見られなかったが、認識の変化を示す表現、列挙、自己引用表現、言いよどみ表現、接続表現、メタ言語表現の5種類の使用が見られた。 話題開始表現と話題のタイプの関連について、TSの場合、新出型の話題に話題開始表現の使用が低く、TSにとって新出型で話題開始表現を使用しないことに抵抗がない。一方、JSは新出型で5種類の話題開始表現を用いたことから、新出型を導入するのに様々な表現を用いる傾向が見られた。再生型の話題同様にも、JSの話題開始表現の使用が7割に上り、話題を再生する場合も話題開始表現の必要性があると考えられる。一方、派生型の話題では、JSの不使用率がほぼTS同様に高く、先行話題との内容が繋がっている場合は話題開始表現の使用が必須ではないと考えられる。 以上、TSとJSは話題のタイプによって用いられる表現が異なることや、認識の変化を示す表現、接続表現、言いよどみ表現の使用率が高いことからTSにとって習得しやすい表現であることが明らかになった。しかし、上級学習者でも話題開始表現を即座に判断して適切に産出することはまだ困難であり、今後、話題開始表現を教材に取り入れるなど、学習者がスムーズにかつ適切に話題を導入できるような指導方法の工夫が必要であろう。 |
要旨(1000字以内) |
本研究は接触場面において、タイ人日本語学習者(以下、TS)と日本語母語話者(以下、JS)はどのように話題開始表現を使用するか、また、話題開始表現の使用は話題のタイプに影響されるかについて分析を試みた。その結果、話題開始の使用におけるTSとJSの特徴が明らかになった。 話題開始表現の使用について、TSとJSの間に全体的な使用頻度には差はあるが、TSにも開始表現を使用しようとする姿勢が見られた。また、本研究では呼びかけ表現の使用が見られなかったが、認識の変化を示す表現、列挙・自己引用表現、言いよどみ表現、接続表現、メタ言語表現の5種類の使用が見られた。それぞれの話題開始表現の詳細としては、TSとJSの使用は似ているが、TSの場合、初級日本語から導入された表現でも不適切な使用が見られた。 話題開始表現と話題のタイプの関連について、TSの場合、全ての話題のタイプにおいて話題開始表現の不使用率が4〜6割である。特に、新出型において話題開始表現の不使用率が一番高く、話題開始表現を使用ないことに抵抗がない。一方、JSは新出型には5種類の話題開始表現の使用が見られ、新出型の話題を導入するのに様々な表現を用いる傾向が見られた。一方、派生型では、JSが話題開始表現の不使用率が一番高く、先行話題と内容的関連性が高いため、話題開始表現の使用が必須ではないと考える。再生型では、JSの話題開始表現の使用が7割に上り、話題を再生するのに話題開始表現の必要性があると考えられる。使用された表現についてTSは認識の変化を示す表現の使用が高いのに対し、JSは認識の変化を示す表現以外に接続表現の使用率も高い。つまり、日本語母語話者は前に言及した話題を繋げようとする姿勢が見られた。 以上、本研究ではTSとJSの話題開始表現の使用と話題のタイプの影響について調査し、話題のタイプによって用いられる表現が異なることや、認識の変化を示す表現、接続表現、言いよどみ表現の使用率が高いことからこれらの表現はTSにとって習得しやすい表現であることが明らかになった。しかし、上級学習者でも話題開始表現を即座に判断して適切に産出することはまだ困難であることがわかった。今後、話題開始表現を教材に取り入れるなど、学習者がスムーズかつ適切に話題を導入できるような指導方法の工夫が必要であろう。 |
最終更新日 2015年3月24日 |