氏名 |
柏 楊 |
修了年度 |
2013年度(2014年1月提出) |
修士論文題目 |
教科・母語・日本語相互育成学習支援を実践する中で母語話者支援者はどのように「支援者」となるか−支援記録の縦断的分析より− |
要旨(500字以内) |
近年、グローバル化の進行に伴い、言語少数派の子ども達が増加多様化している中で学習支援のあり方が問われている。その一つの方法として、「教科・母語・日本語相互育成学習モデル」(岡崎1997)が提唱されている。本研究では、母語話者支援者が教科・母語・日本語相互育成学習支援に携わる中で、どのような内省の過程を辿って「支援者」となるかを探ることを研究目的とする。筆者が書いた支援記録(2011.11〜2013.3、23回分)の中で、スタンス・課題に関連する部分の記述を抽出し、縦断的に質的分析を行った。 分析した結果、スタンスでは、「母語」「視点」「教育ビリーフス」をめぐり、「模範的教師」から「対等な学び手」「子どもの人生に寄り添う人」への変容が見られた。また課題では「アプローチ」「ワークシート」「子どもの姿勢」「母語」「学習スタイル」をめぐり「技術面・形式面の課題」から「内容重視・思考力重視の課題」への変容が見られた。以上から、教育指導経験がない母語話者支援者が、新たな課題を次々に設定し、自身の支援者としてのスタンスを模索しながら、自分なりの「教科・母語・日本語相互育成学習支援」を実現し、自身を支援者として構築していったことが分かった。 |
要旨(1000字以内) |
近年、グローバル化の進行に伴い、言語少数派の子ども達が増加多様化している中で学習支援のあり方が問われている。その一つの方法として「教科・母語・日本語相互育成学習モデル」(岡崎1997)が提唱されている。本研究では、この「教科・母語・日本語相互育成学習モデル」を実践した母語話者支援者に焦点を当て、支援に当たりどのような内省の過程を辿ってどのように「支援者」となるのかを探ることを目的とする。研究課題は、@:母語話者支援者はどのようなスタンスで臨んでいるか、A:母語話者支援者はどのような課題を立てているか、の二点である。筆者が書いた支援記録(2011.11~2013.03、23回分)の中でスタンス・課題に関連する部分の記述を抽出し、内容をカテゴライズして縦断的に質的分析を行った。 分析の結果、スタンスでは、「母語」等をめぐり、「模範的教師」としてのスタンスから「対等な学び手」「子どもの人生に寄り添う人」への変容が見られた。また課題では「アプローチ」等をめぐり「技術面・形式面の課題」から「内容重視・思考力重視の課題」への変容が見られた。まとめると、母語話者支援者が模範的教師としてのスタンスに立っている時は、技術面・形式面での課題を設定していること、しかし次第にそのスタンスが立ち行かなくなり、子どもとの関係の再構築を行う模索段階を経た後は、対等な学び手としてのスタンスに立ち、内容重視・思考力重視の課題を設定していることが分かった。以上から、教育指導経験がない母語話者支援者でも、新たな課題を次々に設定し、スタンスを模索しながら、自分なりの「教科・母語・日本語相互育成学習支援」を実現し、自己を構築していたことが分かった。 |
最終更新日 2014年3月24日 |