氏名 |
楠原 由樹子 |
修了年度 |
2012年度(2013年1月提出) |
修士論文題目 |
日本人大学生の「ハーフ」に対するステレオタイプと異文化接触体験の関連 |
要旨(500字以内) |
近年、「ハーフ」と言われる人々は、ある種憧れの存在として注目されることも多いが、メディアが流布する「ハーフ観」、外見や文化的背景の違いが原因となり、深刻な問題がもたらされることもある。そこで、本研究では一般の人々の持つ「ハーフ」に対するステレオタイプが、「ハーフ」の直面する諸問題に関連していると考え、日本人大学生の「ハーフ」に対するステレオタイプと異文化接触体験を把握し、それらの関連を明らかにするため、日本人大学生198名を対象に質問紙調査を実施し、統計的に分析した。その結果、白人系、黒人系、東アジア系ハーフに共通して『異質性』ステレオタイプが形成され、白人系ハーフでは『日常的な外国人接触(負)』、留学生との交流における『制度的支援(負)』『協力関係』、黒人系、東アジア系ハーフでは、留学生との『対等な関係(負)』の影響が明らかとなった。また、白人系ハーフと東アジア系ハーフについてのみ『親和性』ステレオタイプが形成され、白人系ハーフでは、留学生との交流における『対等な関係』『制度的支援』、『ハーフとの親密な接触』、東アジア系ハーフでは、留学生との交流における『制度的支援』『親密な関係』の影響が明らかとなった。 |
要旨(1000字以内) |
近年、日本における国際結婚数、国際児の出生数は微増減を繰り返しながらも一定数を維持している。現在、「ハーフ」と言われる人々は、ある種憧れの存在として注目されることも多いが、メディアが流布する「ハーフ観」、外見の違いや文化的背景の違いが原因となり深刻な問題がもたらされることもある。そこで、本研究では一般の人々の持つ「ハーフ」に対するステレオタイプが、「ハーフ」の直面する諸問題に関連していると考え、日本人大学生の「ハーフ」に対するステレオタイプと異文化接触体験を把握し、それらの関連を明らかにするため、日本人大学生198名を対象に質問紙調査を実施し、統計的に分析した。 研究課題1では、日本人大学生の「ハーフ」に対するステレオタイプについて因子分析し、白人系ハーフでは『強さ』『親和性』『勤勉性』『類似性』『異質性』『美形』の6因子、黒人系ハーフでは『開放性』『非日本人的外見』『実直性』『異質性』『壮健』の5因子、東アジア系ハーフでは『勤勉性』『異質性』『親和性』『理想的身体』『控えめな性格』『日本人的外見』の6因子が抽出された。研究課題2では、日本人大学生の異文化接触体験について因子分析し、日本人大学生の留学生を含む外国人との接触体験では、『親密な関係』『協力関係』『対等な関係』『制度的支援』の4因子、日本人大学生の「ハーフ」及びメディアとの接触形態では、『海外との介メディア接触』『ハーフとの親密な接触』『ハーフとの表面的接触』『ハーフとの親族内間接接触』『ハーフとの介メディア接触』の5因子が抽出された。研究課題3では、日本人大学生の「ハーフ」に対するステレオタイプに影響する要因を検討するために、重回帰分析を行った。その主な結果として、全てのハーフに共通した『異質性』ステレオタイプについては、白人系ハーフでは、『日常的な外国人接触(負)』、留学生との交流における『制度的支援(負)』『協力関係』が、黒人系ハーフと東アジア系ハーフでは、留学生との『対等な関係(負)』が影響を及ぼすことが明らかとなった。また、白人系ハーフと東アジア系ハーフについてのみ抽出された『親和性』ステレオタイプについては、白人系ハーフでは、留学生との交流における『対等な関係』『制度的支援』、『ハーフとの親密な接触』が、東アジア系ハーフでは、留学生との交流における『制度的支援』『親密な関係』が影響を及ぼすことが明らかとなった。 以上の結果から、コミュニケーションへの影響が考えられる親疎意識に関するステレオタイプには、日本人大学生の留学生との交流が関連していることが分かり、特に、大学の支援を学生が意識し、異文化接触に関心を持つように働きかけることの必要性が示唆された。 |
最終更新日 2013年3月5日 |