氏名 |
蔡 馨宜 |
修了年度 |
2011年度(2012年1月提出) |
修士論文題目 |
台湾の日系企業における台湾人社員の日本人社員に対する意識 |
要旨(500字以内) |
本研究は、台湾人社員が、日本人社員とコミュニケーションを図る上で、日本人社員の仕事慣習をどのように意識しているか、さらに、コミュニケーション上の問題が発生した際、彼らはどのように日本人の対処行動を捉えているかを解明することを目的とする。そこで、3つの研究課題を設定し、質問紙調査の結果に基づき、分析を行った。 課題1の台湾人社員の日本人社員に対する意識は、「完璧志向」「自己責任の回避」「衝突の回避」「集団への帰属重視」「決断熟考」の5因子が見出された。 課題2では、課題1の結果を援用し、「意識に対する属性の影響」を調べた。その結果、「接触頻度」、「勤続年数」、「来日経験」の観点から検討した場合、有意差が見られたものの、「日本語能力」では有意差が見られなかったことが示された。 研究課題3の「場面ごとによる日本人社員の行動に対する捉え方」について、「原因究明場面」、「情報共有場面」、「意思決定場面」のどの場面においても、半数以上の台湾人社員は日本人社員または日系企業のやり方に対して肯定的な意見を示していることがわかった。 |
要旨(1000字以内) |
日系企業内における異文化コミュニケーションに関するこれまで研究では、日本人社員と外国人社員とのコミュニケーション摩擦の問題点については明らかにされたものの、問題点を外国人側に帰属させるなど一方的な結論に終始したものが中心である。また、台湾の日系企業関係者を対象にした研究の中では、双方の問題点に対する個々の記述に止まり、台湾人社員が問題に直面しているとき、どのように捉えているかという意識、また、どのように解決するのかという問題解決方略については言及されていない。本研究は、台湾人社員が、日本人社員とコミュニケーションを図る上で、日本人社員の仕事慣習をどのように意識しているか、さらに、コミュニケーション上の問題が発生した際、彼らはどのように日本人の対処行動を捉えているかを解明することを目的とする。そこで、本研究では、3つの研究課題を設定し、質問紙調査の結果に基づき、分析を行った。 課題1の台湾人社員の日本人社員に対する意識は、「完璧志向」「自己責任の回避」「衝突の回避」「集団への帰属重視」「決断熟考」の5因子が見出された。いずれも、先行研究でよく取り上げられた日本人の伝統的な資質が、本研究においても評価されていることが明らかになった。 課題2では、課題1の結果を援用し、「意識に対する属性の影響」を調べた。その結果、「接触頻度」、「勤続年数」、「来日経験」の観点から検討した場合、有意差が見られたものの、「日本語能力」では有意差が見られなかったことが示された。 研究課題3の「場面ごとによる日本人社員の行動に対する捉え方」について、「原因究明場面」、「情報共有場面」、「意思決定場面」のどの場面においても、半数以上の台湾人社員は日本人社員または日系企業のやり方に対して肯定的な意見を示していることがわかった。 以上のことを総括すると、台湾人社員の日本人社員に対する意識は、今までの先行研究の結果と重なる部分が多かく、また、調査対象者の属性によっては結果が異なっていることが明らかになった。次に、場面別に検討したところ、日本人社員のやり方に反対している人より、肯定的な意見を示した人のほうが遥かに多いことがわかった。 |
最終更新日 2012年11月10日 |