氏名 |
張 慧穎 |
修了年度 |
2010年度(2011年1月提出) |
修士論文題目 |
ダブルディグリー・プログラムの中国人留学生の悩みと解決方法 −来日動機の視点から− |
要旨(500字以内) |
本研究では、ダブルディグリー・プログラムの中国人留学生(D.D.P.留学生)の来日動機、留学生活における悩み、その解決方法を明らかにした。さらに来日動機と悩みが解決方法にどのような影響を与えるかを検討した。 研究結果では、D.D.P.留学生の来日動機は、「可能性の探求」、「消極的な選択」、「学歴の向上」、「現実からの逃避」、「日本文化理解」の5因子が得られた。D.D.P.留学生が日本での留学生活における悩みについて因子分析を行った結果、「専門科目に対する不満」、「進路決定に対する困難」、「交友に対する不満」、「単調な生活に対する不満」、「日本語でのコミュニケーションに対する困難」の5因子が得られた。さらに、D.D.P.留学生が悩みに対する解決方法に対して、「気分調整」、「回避」、「問題解決努力」、「他責化」、「サポート希求」の5因子が抽出された。さらに積極的な動機を持つほうが解決努力をする傾向がみられ、消極的な動機を持つほうが解決放棄や回避をする傾向がみられた。また、悩みの持つほうが解決努力をしない傾向があることが明らかになった。 |
要旨(1000字以内) |
本研究は、日本におけるダブルディグリー・プログラムの中国人留学生(以下、D.D.P.留学生)の来日動機・日本生活における悩み・解決方法を明らかにし、来日動機と悩みがどのように解決方法に影響を与えるかを検討し、D.D.P.留学生に対する教育的支援のあり方を検討することを目的とした。 研究方法としては質問紙調査法を採用した。D.D.P.留学生134名の回答を統計的な分析を行った。まず、D.D.P.留学生の来日動機に関しては、因子分析(主因子法、バリマックス回転)を行い、「可能性の探求」、「消極的な選択」、「学歴の向上」、「現実からの逃避」、「日本文化理解」の5因子が得られた。また、D.D.P.留学生が日本での留学生活における悩みについて因子分析(主因子法、バリマックス回転)を行った結果、「専門科目に対する不満」、「進路決定に対する困難」、「交友に対する不満」、「単調な生活に対する不満」、「日本語でのコミュニケーションに対する困難」の5因子が得られた。さらに、D.D.P.留学生が悩みの解決方法に対して、「気分調整」、「回避」、「問題解決努力」、「他責化」、「サポート希求」の5因子が抽出された。最後に、この結果をもとに、D.D.P.留学生の来日動機と悩み、属性が解決方法にどのような影響を与えるかを検討するため、重回帰分析(ステップワイズ法)を行った。その結果、可能性の探求、単調な生活に対する不満、学年は気分調整に対して有意に影響していることが明らかになった。可能性の探求、消極的な選択、日本語でのコミュニケーションに対する困難は回避に有意に影響を与えることが示された。可能性の探求、消極的な選択、学歴の向上、日本語でのコミュニケーションに対する困難は問題解決努力に有意に影響していることが分かった。現実からの逃避、専門科目に対する不満は他責化に影響を与えることが明らかになった。最後に、可能性の探求はサポート希求に影響をしていることが分かった。 以上のような結果から、本研究はD.D.P.留学生の来日動機が消極的なものと積極的なものがあると分かり、その重要性を強調した。さらに、中国側の大学が送り出す側として、日本側の大学が受入れ側として、それぞれD.D.P.留学生に対する教育的支援のあり方を検討した。 |
最終更新日 2011年4月1日 |