修士論文要旨


氏名

朴 志仙

修了年度

2005年度(2006年1月提出)

修士論文題目

韓国人日本語学習者の学習スタイルと日本大衆文化を扱った授業の受容度

要旨

(300字以内)

本研究では、韓国で第二言語として日本語を学ぶ学習者の学習スタイルと日本大衆文化を扱った授業の受容度との関連を明らかにすることを目的とし、分析を試みた。
 調査にはKolb(1985)の学習スタイル尺度(LSI)と「日本大衆文化への関心度と学習経験」、「日本大衆文化を取り入れた日本語授業に関する認識」を調べるものから成る調査紙を用いた。その結果、韓国人学習者の学習スタイルは「理性」と「非理性」の構造が有効である可能性が示唆され、学習スタイルによる日本大衆文化を扱った授業の受容度の違いが認められた。さらに、LSIは韓国人学習者の学習スタイルの測定において部分的に有効であることが指摘できた。

要旨

(1000字以内)

本研究は、韓国で第二言語として日本語を学ぶ学習者の学習スタイルと日本大衆文化を扱った授業の受容度との関連を明らかにすることを目的とし、分析を試みたものである。
 先行研究によると、日本において学習スタイルの研究は進んでいるものの、外国語教育の分野での研究はまだ数えるほどのであり、韓国人対象の調査結果はさらに少ない(木下:2004)。特に、認知学習スタイルに関する研究において、韓国人学習者の学習スタイルは多角的な観点からのアプローチが行なわれておらず、日本語の授業への適用も皆無に近い。とりわけ、最近の韓国では、日本大衆文化の制度的な開放を機に、日本大衆文化を日本語教育と結びつけるといった試みや研究が行なわれるようになった。しかし、その基礎的な研究として、日本大衆文化を扱った授業に対する学習者の受容度を取り上げた研究は、日本大衆文化への興味の度合いや、好みの学習素材などを調べる表面的なアプローチからしか行われていない。学習の主体となる学習者についての具体的な理解が不足している。

 以上を踏まえ、本研究では3つの研究課題を設定した。
・韓国人学習者の学習スタイルはどのような構造を成しているのか。

・日本大衆文化を扱った授業の受容度はどのような構造を成しているのか。

・学習スタイルは日本大衆文化を扱った授業の受容度に関連するのか。

以上の研究課題を追究するために、韓国人日本語学習者131を被験者とし、Kolb(1985)のLSI項目と「日本大衆文化への関心度と学習経験」、「日本大衆文化を取り入れた日本語授業に関する認識」から成る調査紙を用い、調査を行った。

その結果、以下の3点が明らかになった。
・韓国人学習者の学習スタイルは「理性」と「非理性」の構造が有効である可能性が示唆された。
・日本大衆文化を扱った授業の受容度は「効率不安」、「好意的な受容」、「消極的な受容」、「授業の否定」の4つの因子により説明できる。
・「理性」の学習スタイルを持つ学習者は、大衆文化を扱った授業に否定的な態度を示す反面、「非理性」の学習スタイルを持つ学習者は、授業に対して好意的な態度を持つ。

これらの結果は、「韓国人学習者においてのLSIの有効性」と「大衆文化を扱った受容において考慮すべき学習者要因」についての基礎研究に寄与するものと考えられる。

要旨

(2000字以内)

 

修論発表会要旨

 

 


最終更新日 2006年3月20日