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朴 賢貞

2018年5月16日更新

日本における韓国人就労者の日本人イメージと異文化受容態度との関連 

朴 賢貞
修了年度 2016 年度
修士論文題目 日本における韓国人就労者の日本人イメージと異文化受容態度との関連 
要旨
(1000字以内)
本研究は、韓国の中学校・高等学校教育とマスメディアを通して日本人イメージを形成してきた韓国人が就労者として来日してからどのように日本人イメージが形成されているのかを検討し、また、その日本人イメージが異文化受容態度にどのように影響を与えているのか韓国人就労者の日本人イメージと異文化受容態度、属性との関連を明らかにすることを目的とし、日本における韓国人就労者108名を対象に質問紙調査を行い、統計的に分析した。

まず、日本における韓国人就労者の日本人イメージについて因子分析をした結果、〈自己中心性〉、〈他者への気遣い〉、〈保守性〉、〈内向き思考〉、〈愛国心〉という5因子が抽出された。また、日本における韓国人就労者の異文化受容態度について因子分析をした結果、Berryの従来の異文化受容態度と同様に本研究においても4類型(〈周辺化〉、〈分離〉、〈同化〉、〈統合〉)が4因子として認められた。さらに、異文化受容態度に影響を与えている要因を明らかにするために重回帰分析をした結果、〈周辺化〉の異文化受容態度には、有意な影響は見られなかったが、〈分離〉の異文化受容態度には、〈他者への気遣い〉の日本人イメージが正の影響を与え、〈愛国心〉の日本人イメージが負の影響を及ぼす傾向が見られた。また、〈分離〉の異文化受容態度には、〈内向き思考〉の日本人イメージも正の影響を与えていた。さらに、〈同化〉の異文化受容態度には、〈他者への気遣い〉の日本人イメージが正の影響を与え、〈愛国心〉の日本人イメージが負の影響を及ぼす傾向が見られた。最後に、〈統合〉の異文化受容態度には、〈他者への気遣い〉の日本人イメージが正の影響、「日本での職歴」が負の影響を及ぼす傾向が見られた。

本研究の結果から、日本における韓国人就労者は、日本人との接触によって日本人に対するイメージが異なることがいえ、さらに、〈他者への気遣い〉の日本人イメージが日本人との良好な交流を促し、異文化受容態度に大きな影響を与える重要な要因と見られ、職場においても日本人の社員と協力し合い、コミュニケーションを通じた信頼関係を形成する親しい付き合いを持つことにより、〈他者への気遣い〉の日本人イメージをもたらす対人関係が必要であることが示唆され、今後の課題として、職場おいて、韓国人就労者がホスト文化である日本文化を受け入れないとする理由として、対人関係にどのような困難を感じ、葛藤を持っているのか探る必要が挙げられる。

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