研究内容

国内の同種の研究グループと本研究グループとの大きな差異は、「女性」や「家庭・家族」に強い光をあてつつ「仕事」を見る、という視点の置き方、および、学際性にあります。 本研究ではフォーカス・グループ・インタビュー、ヒアリング、量的データ収集を行い、女性と男性の「家庭・家族」と「仕事」環境を明確にし、またそのメンタルな実態を明らかにすることで政策提言につなげたいと考えます。また、既存データの二次分析や国際比較研究をすることで、広い視点からの示唆も得たいと考えます。 このような調査研究から浮かび上がった問題点を明確に位置づけたうえで、政府のワーク・ライフ・バランス政策の枠組みを分析検討し、国際比較研究をおこなうとともに、男性中心型であった従来の労働法学や裁判例の批判的検討を通じて、より実効性のある政策提言を行いたいと考えています。

研究方法

  1. フォーカス・グループ・インタビュー
    女性が何故、仕事と家庭見通しが持てず離職するのか、その課題は何かを探るために、総合職女性、一般職女性、子どもいる女性、子どものいない女性、高卒女性、非正規社員女性、非正規社員男性、子どものいる男性等のグループを対象にインタビューを行います。
  2. ヒアリング調査
    昇進や賃金制度、その中での女性の位置づけ、職階の男女差がなぜ生じているのかを、企業内の技能形成のシステムにどう女性がのれるのか、のれないのか、非正規雇用がどう活用されているのかをからめて明らかにするために、企業に対しヒアリング調査を行います。  また個人を対象に就業履歴と家庭内環境(子育て・家事分業、親子・夫婦関係)についてのヒアリング調査を行います。
  3. 量的調査
    フォーカス・グループ・インタビューとヒアリング調査により明らかになった家庭内環境と就業履歴、男女の意識差や心理的な問題などをもとに、調査票を作成し、『家族からみたワーク・ライフ・バランスに関する調査』を行います。
  4. 全国調査の二次分析
    全国調査の再分析により、男女の就業状況や失業・非正規就業後の賃金について、産業、地域、企業規模別に夫婦単位で明らかにし、さらに家庭内の家事育児分担や生活時間、家族の発達や幸福感、心理面でのストレスとのかかわりについて明らかにします。
  5. 国際比較研究
    ワーク・ライフ・バランスの先進国である米国、英国、オランダ、仏、ノルウェーから研究者を招聘して各国の実態と取り組み方についてのシンポジウムを開催し、報告をしてもらいます。 日本で実施した調査と同じ調査を米国の大都市で実施します。
  6. 政策分析研究
    女性が何故、仕事と家庭見通しが持てず離職するのか、その課題は何かを探るために、総合職女性、一般職女性、子どもいる女性、子どものいない女性、高卒女性、非正社員女性、非正社員男性、子どものいる男性等グループを対象にインタビューを行います。
  7. ロール・モデル研究
    20世紀から21世紀の社会システムの変化に伴い、「仕事をすること」と「家族を形成すること」の願望や価値観に変化が生じて来ています。企業や公務の場でも、労働形態や雇用制度の変革が迫られています。ロール・モデル研究は、インセンティブやモティヴェーションといった、人々の心の動き方を解明する際に、手がかりとなる知見をもたらす研究方法の一つと言えます。若年男女の求める多様な形態のロールモデルを探ることにより、新しい家族と仕事像を捉えていきます。
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お茶の水女子大学

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