2009年度 2010年度

【第5回研究会】
日時 平成21年3月17日
テーマ家族から見たワーク・ライフ・バランス
 
【講師】牧野カツコ氏(お茶の水女子大学名誉教授)
ワーク・ライフ・バランスをめぐって
ワーク・ライフ・バランスの曖昧さ
仕事と生活のバランスと企業、近代化の中の子ども
家族から見るワーク・ライフ・バランスの必要性と国際比較
ワーク・ライフ・バランスと教育の課題など
質疑応答
【第4回研究会】
日時 平成21年3月16日
テーマキャリアアンカーと仕事意識
【講師】佐藤厚氏(法政大学教授)
「育児・介護休業法と次世代法:日本のワークライフバランスの法政策」
技術者に対する調査によって、20代後半から30代にかけて、自身ある技術分野(キャリア・アンカー)が形成されると、仕事や会社へのスタンスも積極的で仕事上のモラールも高くなり、早い昇進につながっているということが紹介された。女性の場合、キャリアアンカー形成期と結婚・出産・育児期が重なっていることが、キャリアアンカー形成を阻んでいることが示された。また、ワーク・ライフ・バランス施策の一つである弾力的労働時間制度がうまく機能するためには、評価制度を「成果重視」にし、仕事の裁量度を高くする必要があることが示された。さらに、企業ヒアリングの方法について示された
【第3回研究会】
日時平成21年3月11日
テーマ質的研究法
【講師】 林葉子氏(お茶の水女子大学研究員)
1.質的研究とはどのような研究か?
2.質的研究の設計
3.データの分析方法
4.ソフトウエアと質的分析
質的分析のためのソフトウエア
GT法について
参加者とのディスカッション
当プロジェクトで、企業や従業員へのヒアリングを行う場合、どのようなアプローチ有効か、男女間における昇進プロセスの違いや女性の就業意識など、具体的な研究テーマを例に、分析方法についてフリーディスカッションを行った。
第5回全体会議
日時 2009年3月9日
テーマ「多様な女性参画のモデル形態: 国・地方自治体・企業の事例から」
塚崎 裕子氏  内閣府男女共同参画局推進課
「女性の参画の現状と参画加速のための取組」
国や企業、身近な生活圏としての地域における政策・方針決定過程への女性の参画について、日本の現状と、国際比較によるその特徴などが紹介された。次に、「意識改革」、「女性の能力開発支援」、「ワークライフバランス」、「地域」などの側面から、女性の参画を加速するために国が現在掲げている政策の目標や方向性が紹介された。
舘かおる氏 (お茶の水女子大学 大学院人間文化創成科学研究科 教授)
「国・地方自治体による『表彰』と企業へのインセンティブ ―福井県における『男女共同参画・少子化対策』政策と企業とのコラボレーション―」
国・地方自治体が企業に対して行う、女性活用やワークライフバランスの推進に関する「表彰」制度が、ロールモデルの指標を示すものとして紹介された。次に、都市と地方における、その指標の差異と同一の要素を析出するため、現地調査の結果をもとに、福井県の「表彰」関連の取組や受賞した企業の事例が紹介された。最後に、これらの事例をもとに、企業へのインセンティブをともなう政策による働きかけの重要性と、それに対する企業の呼応の仕方について考察された。
第4回全体会議
日時 2009年2月13日
テーマ
神尾 真知子氏 (日本大学法学部・教授)
「育児・介護休業法と次世代法:日本のワークライフバランスの法政策」
神尾真知子氏をお招きし、上記の題目で育児・介護休業法と次世代育成支援対策推進法について、どのような規定があるのか、またそれぞれの法律がどのような問題を抱えているのかについて、神尾氏の専門とするフランスにおけるワークライフバランス政策に言及しながらご報告頂いた。その後、出席者との間での質疑応答の時間をもち、活発な議論が行われた。
 
【第2回研究会】
日時 平成21年1月27日
テーマ仕事と生活の調和の実現を目指して
【講師】 本多則恵氏(内閣府・仕事と生活の調和推進室参事官)
 
政府によるワーク・ライフ・バランス政策を理解することを目的に、本田則惠氏が配布資料に沿って1時間の報告を行い、報告途中および報告後の時間に質疑応答が行われた。主な報告内容は、①ワーク・ライフ・バランス(以下WLB)はなぜ必要なのか、②WLBを進めるための政策、③WLBを進めるための企業の取組み、の3点である。
第3回全体会議
日時 2009年1月13日
テーマ 「働き方にみる諸課題」
三橋 明弘氏 (旭化成株式会社 人材・労務部)
「企業における処遇制度と働き方の関係」
三橋氏からは、「企業における処遇制度と働き方の関係」について、職能資格制度と職務(役割)等級制度の特徴と、役割等級制度に向きつつある人事制度の変化について、現場ならでの臨場感と現実味をもった説明をいただいた。家族研究者、心理研究者など、労働研究ははじめてのメンバーにも、また労働研究の専門家にも、ともに興味深いご講演であった。その上で、制度変化が日本企業の働き方や社員のインセンティブづけにどのような影響を与えると考えられるかについて考察された。
またワークライフバランスの課題として、メンタルヘルスの悪化、中間管理職層の労働時間の長期化などの諸課題を指摘された。
武石恵美子氏(法政大学教授)
「働き方の見直しと職場マネジメントの課題」
日本人の働き方、オランダやイギリスにおけるワークライフバランス政策、企業がワークライフバランス施策を取り入れるメリットや阻害する要因などについて説明された。日本では女性の社会進出が進んだと言われているが、子どもを持つ女性の就業率には大きな変化はない。また30~40歳台の男性従業員は相変わらず長時間労働に従事していることも最新のデータによって再確認された。男性の働き方こそ問題とすべきで、男性の働き方が変われば育児休業を取らなくても仕事を続けることができ、両立支援策も軽装備ですむ。夫婦2人で仕事をしながら育児もできる働き方を考えるべきで、育児や介護などのイベントに応じて、誰もがどこかで働き方を変えることができるように人事処遇制度を見直す必要があるという問題提起があった。
総合討論では,各先生方からのコメントをいただきながら,活発で有意義な議論が行われた。
【第1回研究会】
日時 平成20年12月19日
テーマ労働法の体系と概要
【講師】 神尾真知子氏(日本大学教授)
労働法の基本的な枠組みを理解することを目的に、神尾真知子氏が配布資料に基づいて労働法の体系と概要について報告した。また、正規雇用と非正規雇用の相違点について確認し、派遣労働を中心に非正規雇用の問題点を整理した。同氏による約1時間の報告のあと、労働法の規定について更なる説明を求めるかたちで、質疑応答が行われた。
第2回全体会議
日時 2008年12月17日
テーマ 「子育てとワークライフバランス」
菅原 ますみ氏 (お茶の水女子大学 大学院人間文化創成科学研究科 教授)
「親の就労と家族の健康・発達との関連について」
当該テーマに関する発達心理学的研究のレビューが紹介され,海外調査の研究状況や国際比較による我が国特有の特徴などが紹介された。また本事業における研究班全体での共有すべき定義などに関する提案がなされた。
後藤 憲子氏(ベネッセコーポレーション、ベネッセ次世代育成研究所部長・主任研究員)
「企業の現場からみた女性のライフワークバランス」
女性従業員のライフワークバランスのとり方の背景にあるものについて、企業の現場からの報告がなされた。企業の発展の歩みとともに,創業当初から積極的に女性の活用にあたり,ソフト産業の特徴を生かした政策よりも早い女性活用への企業努力などが紹介された。
総合討論では,各先生方からのコメントをいただきながら,活発で有意義な議論が行われた。
第1回全体会議
日時 2008年10月2日
研究代表からのあいさつ 政府は「ワークライフバランス」を重要政策課題として掲げているが、女性が仕事と家庭を両立しやすい社会の実現は、まだ道半ばである。状況を改善するために、現場の実践者との対話や新しい制度設計が必要であり、特に女性労働を理解するためには家族の視点が不可欠である。お茶大には家族や子どもの発達についての専門家が多く、学際的な研究が可能である。これから5年間、実務家、実践家、NPO、政府や自治体、家庭の主婦の方々との協業によって、女性の経験を重視したワークライフバランスのあり方と実現のための処方箋を提言をすることを目指したい。
研究についての抱負 研究メンバーからは、「学際的な研究をとおして、女性だけでなく男性の育児・家事参加と仕事の調和について検討したい」(石井・クンツ・昌子教授)、「乳幼児期から児童期頃、青年期まで、子どもの健やかさを保つために必要な親・家族・社会のあり方を考えたい」(菅原ますみ教授)、「ロールモデル研究をとおして若年男女の求める新しい家族と仕事像を明らかにしたい」(舘かおる教授)、「男性中心型、長期雇用型の労働法からワークライフバランス型、それも男女平等なワークライフバランス型の労働法モデル考えたい」(戒能民江教授)、「ワークライフバランスが新しい国家政策となった経緯と政府・地方自治体・企業・労働組合における政策・方針枠組みと運用実態について検討したい」(申キヨン准教授)などの抱負が語られた。
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