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ヴァッサー大学・日本語日本文学コースとの交流プログラム
2006年10月31日〜11月4日


 大学間協定に基づいて、今年の7月から約二ヶ月間、ヴァッサー大学で 日本語を学ぶ学生たちが、日本語学習のために本学に滞在していたことは記憶に新しい。グローバル文化学環ならびに英語圏言語文化学履修コースの学生たちと の共同ゼミや交流を含め、充実した毎日を過ごして帰国していった。


 この夏の交流と呼応するかたちで、ヴァッサー大学から秋の 「Culture Day」への参加と授業等を通じての学生たちへの知識供応の要請があった。これにこたえ、大学院イニシアティブの事業の一環として、 10月31日から11月4日まで、教員・菅聡子ならびに大学院博士後期課程に在籍する三名の学生、倉田容子・武内佳代・金ミンジュがヴァッサー大学へと派 遣された。










 11月3日に開催された「Culture Day」への参加をメイン にしたプランであったが、滞在中は、初級〜上級の日本語クラスに毎日参加し、受講生たちと交流を深めた。クラスを担当するヴァッサー大学の先生方ととも に、授業の運営に加わった。ヴァッサー大学では、初級・中級クラスまでは、毎日、定まった時間帯に日本語の授業が行われる。1コマは「70分」で、本学よ りも短いが、語学学習においては、このような集中的な学習が高い効果をあげると思われる。実際、受講生たちは、日本語を学び始めてまだ日が浅いにもかかわ らず、かなり複雑な日本語をあやつっていて、私たちを驚かせた。また、上級レベルの学生のみが受講する「日本文学」のクラス(担当:土屋浩美先生)では、 菅が、日本の古典作品ならびにCanonの、少女小説等への二次使用について講義をおこなったが、受講生たちは非常に高度な質疑ならびにディスカッション を行い、学部の3〜4年生が中心であることを考えても、やはり、私たちを驚かせるものであった。


 11月3日の「Culture Day」は、日本語ならびに中国語の プログラムを履修している学生たちによるイベントで、春と秋の二回、毎年行われるという。学生たちにとっては、日中両文化にどのように親しみ、また語学力 を身につけているか、披露する機会でもある。なかでも、本学に滞在中の体験を紹介したスライド・ショーが学生によって行われ、来年の訪日を心待ちにしてい る彼らの様子も伝わってきた。私たちは、ヴァッサー大学からの要請にこたえて、現代日本のサブカルチャーについて、菅が講演を、また倉田・武内・金がそれ ぞれ発表をおこなった。実のところ、日本語を学習している学生たちのほぼ90%以上が、日本のサブカルチャーに深い関心を持ち、翻訳ではなく直接にそれら を理解したい、という日本語学習の動機を持っている。日本文化といえば、能・和歌・茶道・歌舞伎etc.を連想した(あるいは連想するだろうと日本人は考 える)ものだが、アメリカの若者世代の関心は、ほぼ完全にサブカルチャーに向けられている。視点を変えれば、これらをテーマとすれば、学生同士の共同研究 やゼミがより熱意をもって実行されうるだろう。今後の両校の交流プログラムを考える際に、彼らの現実的な関心を組み込むことも重要だと感じさせられた。











 海外からの訪問者があったせいかどうかはわからないが、今回の 「Culture Day」は例年に比べて参加者数が大幅に増加し、また学内の他コースの先生方も多数参加されたという。ヴァッサー大学の日本語プログラ ムの担当の先生方は、この結果を非常に喜んでおられた。


 さて、滞在中、私たちがもっとも感銘を受けたのは、ヴァッサー大学の 先生方の温かいhospitalityと、学生たちの熱心でかつフレンドリーで人なつっこい応対だった。滞在中、私たちはずっと大学構内で過ごしたが、 (滞在したホテルもヴァッサーの施設で、キャンパスの隣にあった)一度も不自由な思いをすることもなく、先生方の行き届いたご配慮のもとで、実に快適な日 々であった。一方で、学生たちは積極的に自分たちの方から私たちに語りかけ、日本への(あるいはサブカルチャーへの)関心を口にした。


 来年の夏、彼らのうちの幾人かが、再びお茶大にやって来ることだろ う。授業プログラムのさらなる充実も含めて、あらためて私たちのhospitalityを示したいと思う。


(文責:菅 聡子)










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Last Modified 2006/12/01     責任 者:古瀬奈津子 担当者:久米彩子