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ロンドン大学アジア・アフリカ研究院(SOAS)とのジョイントゼミ


2007年1月 17日〜20日


「研究の共通磁場としての日本学」





 SOASとのジョイントシンポジウムは、1月17日から20日の4日 間に亘って、SOASを会場として実施された。SOASとは1999年に交流協定を締結したので、交流はすでに8年に及んでいるが、こうした本格的な学術 交流は初の試みであった。


 4日に亘るシンポジウムは、毎日テーマを変えて実施された。なお、論 題はあらかじめ登録したものから変更された場合が多く、プログラムと報告の表題が異なっている場合があることをお断りしておく。
初日は、日本学の原点とも言うべき中国学についてのセッションであり、本学の参加者には、必ずしも専門でない分野の報告をお願いしたが、SOASから出席 された池澤氏の報告ともよくかみ合って妙味深いセッションとなった。


 2日目は、歴史・美術・音楽という多様な角度から近世の芝居の世界を 扱うという、日本学ならではの楽しいセッションとなった。また、神田報告は、最終日の天皇の神話のセッションとの橋渡しも意識してなされたため、全体の論 点に一体性を持たせる効果を発揮することとなった。


 3日目は、尺八と三島というやや強引なセッションとなったが、 Dodd氏の名司会により、興味深いセッションとなった。また同じ対象を扱う報告が重なったのは、このセッションの特徴であったが、日本の研究スタイルと SOASの研究角度との比較ができたことは、ジョイントゼミの可能性を開くものとなった。
最終日は、天皇を扱う報告を集めて、「天皇の神話」というシンポジウムに編成してみたが、特に事前に打ち合わせをしたわけではなかったにもかかわらず、相 互に論点がかみ合う刺激的な内容となった。これも日本学ならではの妙味であろう。


 全体を通して強く感じたことは、日本学という研究の場は、相互に出会 うことによって初めて真価を発揮することができる、ということである。専門的な発想からは想定されないような磁場が発生し、報告どうしが相互に思いがけず 引き合うことを目の当たりにしたことは、貴重な体験であった。
やはり、日本学は出会いの研究分野(テーマも研究者も)だと再確認した。同じような経験は、他のジョイントゼミでもたびたび経験したが、そのときはまさに 目から鱗が落ちたような興奮を味わったものである。今回のSOASとのジョイントゼミでも、多くの参加者がそうした気分を味わったのではないかと推測す る。
報告(プレゼンテーション)のあり方の違いなど、考えさせられることも多く、その意味でも実り豊かなジョイントシンポであった。


 最後にSOASとJapan Research Centerの全面的な協力を得たことによってこのシンポジウムが成功したことを記し、推進していただいたセンター長のJohn Breen教授に深甚の感謝の意を表したい。








(小風 秀雅) 




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Last Modified 2007/03/02     責任 者:古瀬奈津子 担当者:久米彩子