修士論文要旨 |
氏名 |
高梨 宏子 |
修了年度 |
2008年度(2009年1月提出) |
修士論文題目 |
多言語多文化共生を目指した日本語教育実習子どもクラス実習生の教師の役割認識の変容 |
要旨(300字以内) |
本研究は、共生日本語教育実習生の日本語教師観の変容を明らかにすることを目的とし、PAC分析による自己分析を行った。 |
要旨(1000字以内) |
急速な国際化、定住外国人の増加に伴い日本語学習者の多様化が進行している中、新たな日本語教育として「共生日本語教育」(岡崎2002)が提唱されている。共生日本語教育では、学習者だけではなく教師も多様な学びがあり、個々の学びがあることが確認されている。本研究は、共生日本語教育実習生の日本語教師観は実習前後でどのように変容するかを明らかにすることを目的とした。個に注目した研究においては被験者自身の解釈も重要になるため、自己分析を行った。研究課題1では共生日本語教育実習生の実習前後の教師観はどのようなものか、また実習前後の変容は何かを探った。研究課題2で教師観の変容を促したものは何かを探った。 研究課題1では実習前は<学習者のニーズの把握と理解><ニーズへの対応><学習者と教師の学び合い>というカテゴリーが作られていた。インタビューから実習前は学習者のニーズに応えることを重視しながら、学習者だけではなく教師も学に存在であると捉えていることが分かった。実習後のカテゴリーは<学習者に大切なことを考え続けていくこと><学習者を多面的に見ること><学習者と教師の相互成長>だった。また、実習前後の変容として、@教師がすべきことA他者との関わりB成長の捉え方がある。@教師がすべきことでは、受け身的な役割意識から主体的な役割意識へとなった。A他者との関わりでは、実習後に教師同士の関係において連携することの意義を見出すようになり、保護者との関係にも注目するようになった。最後に、B成長の捉え方では、実習前は教師が成長するという解釈はなかったが、実習の授業を通して教える側に人間も学習者と同じように成長すると考えるようになった。 研究課題2では、3つの要因があることが分かった。まず、実習での実習生同士が話し合いながら作り上げていくという「授業の方向性」が考え続けるという姿勢をつくり出し、主体的な役割意識を持つようになったと考えられ、教師がすべきことの変容となった。「教室環境」は他者との関わりの考え方に影響があると考えられる。実習の教室環境は実習前の経験にはない同僚教師との協働や保護者らにも開かれた教室という環境が新たな視点が加えることとなった。「振り返る機会」が成長を気付かせ、内省を繰り返すことによって意識の面で考えるサイクルが生まれたと考えられる。 |
最終更新日 2008年3月○日