論文 日本語母語話者と日本語学習者の文章構造の特徴―文配列課題に現れた話題の展開―
著者 杉田 くに子
掲載雑誌 日本語教育84号
発行所 日本語教育学会
発行年 1994・11
掲載ページ数 pp14-26
要旨 中国語・英語・韓国語を母語とする上級日本語学習者と日本語母語話者を対象として、複数の論説調の文を並び替 えて一貫した文章を作る調査を実施した。調査の結果、日本語母語話者のグループは言っていの文の組み合わせからなるいくつかの意味のまとまりが現れることが多く、そうしたまとまりの配列の順序も「一般論(陳述)→特定の話題(陳述)→一般論(主張)」という強い型があることがわかった。一方日本語学習者には様々なパターンが見られた。この型の違いが日本語母語話者に違和感を与えているものと思われる。
論文 初対面会話におけるスキーマとストラテジー―大学生会話の分析―
著者 三牧 陽子
掲載雑誌 日本語教育103号
発行所 日本語教育学会
発行年 1999・12
掲載ページ数 pp49-58
要旨 文化を共有する集団には「初対面会話における話題選択スキーマ」が存在するとの仮説の検証を目的に、初対面の大学生の日本語母語話者の会話を分析した。その結果総話題項目265の95%が、23話題目、8カテゴリーに集約された。以上の結果から大学生初対面会話における話題スキーマの存在が確認された。また話題選択ストラテジーとして@直前の発話をとりたてるA〔基本情報交換期〕に得られた情報の中から選択するB初対面会話選択肢リストの中から選択するC共通点を探して強調するD相違点に関心を示すE危険な話題を回避する…の6種類が確認された。異文化間コミュニケーションには相手文化における話題選択スキーマに関する知識を有し理解することが重要である。
論文 日本語母語話者の雑談における「物語の終了」―物語を終了するために語り手が行う言語行動を中心にー
著者 李 麗燕
掲載雑誌 日本語教育96号
発行所 日本語教育学会
発行年 1998・3
掲載ページ数 pp85-96
要旨 物語(過去に発生した出来ごと)を雑談の中で披露する際に物語の冒頭、途中、末尾では何らかの技術が使われると考えられる。この論文では日本語母語話者のインフォーマルな雑談における「物語の終了」に焦点をあて、語り手が物語を終了するために行う言語行動を@物語の題目を示すA物語の結末を示すB物語発生当時の気持ちを表すB物語発生当時の気持ちを表すC物語の終了を示す…の四つに分類して分析した。これら四種類の技術は日本語の会話教育に有効と思われる。
論文 日本語母語話者の雑談における「物語の開始」−物語を開始するために語り手が使う言語表現を中心にー
著者 李 麗燕
掲載雑誌 日本語教育103号
発行所 日本語教育学会
発行年 1999・12
掲載ページ数 pp59-68
要旨 物語(過去に発生した出来ごと)を雑談の中で披露する際に物語の冒頭、途中、末尾では何らかの技術が使われると考えられる。この論文では日本語母語話者のインフォーマルな雑談における「物語の開始」に焦点をあて、語り手が物語を開始するために行う言語表現を@話を変える表示をするA話をするための許可を他の会話参加者に求めるB話をしようとする意欲を他の参加者にアピールするC他の会話参加者の興味を引く…の四種類に分類・分析した。これらの言語表現は日本語の会話教育に有効と思われる。
論文 談話展開と予測能力についてー確認要求表現を用いた発話を中心にー
著者 瓜生 佳代
掲載雑誌 言語文化と日本語教育・12
発行所 日本言語文化学研究会
発行年 1996・12
掲載ページ数 pp34-45
要旨 談話には聞き手が予測しやすい/しにくい展開パターンがあると思われる。この論文では確認要求表現「だろう/でしょう」を使った発話に注目し、その後の発話は予測しやすいのではないかという想定のもと、予測調査を行った。そして後に聞き手への注意や提案などの働きかけがくる場合は予測が容易であり、後に自分の意見を続ける展開になっている場合は内容によっては予測が困難になるという結果が得られた。…発話の機能によって予測の難易度が決まってくることが明らかになった。留学生と日本人を比べると留学生の予測は日本人の予測よりも弱いが、発話の機能によって予測の難易が違ってくる点では日本人と同じであることがわかった。
論文 会話の話題展開における規範の分析―授業中の話し合いを例にしてー
著者 小笠 恵美子
掲載雑誌 言語文化と日本語教育・21
発行所 日本言語文化学研究会
発行年 2001・7
掲載ページ数 pp110-121
要旨 学校のゼミではその場にあった話し方をすることが求められる。この論文では村上・熊取谷(1992)の「階層構造」を枠組みとして、ゼミの話し合いの話題が内容の上でどのような関係を持っているか分析した。その結果、会話はレジュメや文献を中心に進められ、そこに関係無い話題は派生しないということがわかった。会話者本人たちはそのことを意識していない事から、これらの規範は無意識のうちに共有されているものと考える。
論文 談話構成における母語話者と学習者の視点―日韓両言語における主語と動詞の用い方を中心にー
著者 金 慶珠
掲載雑誌 日本語教育109号
発行所 日本語教育学会
発行年 2001・4
掲載ページ数 pp60-79
要旨 この論文では日本語と韓国語の談話展開における視点の基準を比較した。分析の枠組みとしては@文の主語(視点対象の把握)A文の動詞(視点状況の把握)の二点とし、分析を行った。結果としては、日本語母語話者においては反復主語として用いられる特定人物が「何をしたのか、されたのか、そしてどうなったのか」という視点から談話を展開させる特徴が観察され、結果としては「サレル型」「ナル型」が多くなっていた。それに対して韓国語母語話者においては反復的主語が特定の人物であるよりも各場面の(行為や動作)の主体となる傾向が強く、一連の情報において「何かをしたのは誰なのか」という動作主体中心の談話構成をしている傾向が観察された。またこれらの傾向は韓国語母語話者が日本語で書いた資料にも見られ、母語からの干渉の可能性が高い結果となった。
論文 Conversational Style:Analyzing talk among friends
著者 Tannen、Deborah
発行所 Norwood、NJ:Ablex
発行年 1984
要旨 タネン自身が参加した感謝祭の夕食のテーブルでの会話を採録して分析。その後のフォローアップインタビューとあわせてさまざまなことを明らかにした。感謝祭の夕食の会話には導入部分(オリエンテーション部分)が必要ないこと、Story Round(まわし物語)の概念、各参加者が使っていたストラテジ―などを明らかにした。
最終更新日 2001・10・20